主要なPR会社の現場で奮闘する若手・中堅のPRパーソンに、現場の仕事や今後のPRのあり方について聞く。
企業の規模や業種を問わず、即戦力になる若手社員はいつの時代も求められている存在であり、それはPR業界も同様だ。ベクトルグループ・イニシャルに入社し、今年で4年目を迎えた西橋京佑さんもまさに次世代を担うPRパーソンの一人である。
現在は大手、ベンチャー問わず5~6社を担当しながら、新規案件の営業のため日々社内外を奔走する西橋さん。入社1年目から営業として現場に入り、文字通り“即戦力”となるべく数々のPRの現場をその目で見てきた。
自分が一人のPRパーソンとして手応えを感じ始めたのは、入社2年目のこと。「ヒアリングをしながらお客さまが何に悩んでいるのかを頭の中で分析し、その解決策を自分の言葉で提案できるようになったのが、そのころでした」と西橋さんは言う。常に同じ業界のクライアントを相手にするわけではないPRパーソンにとって、どんな案件にも通用する「正攻法」というものは存在しない。だからこそ、あらゆる方向から、どんな変化球を投げられても打ち返すだけのバリエーションのある打法を身につける必要がある。「リリースを出して、メディアに露出させる─今の時代、そんなルーティンなPRはもう求められていません。成功したPRの手法はどんな業界の事例であれ参考にし、アドテクノロジーなどのデジタル領域や動画を使ったPRなどコミュニケーションの幅を持たせた提案をし続けることが重要だと思います」。
また、最近では商品開発の段階からPRのストーリーを考えてほしい、という依頼も多い。例えばクライアントが新商品を開発した際に、商品名のアイデア出しをしたり、キャンペーン名を考えたりすることもあるという。「最近では、商品開発や企画を考える段階からPR要素を加えたいというニーズが増えてきました。これは世の中のPRに対する期待値が高まっていることの表れだと思います。だからこそPR会社は専門外の領域をつくらず、新しいアイデアを提案し続けていく必要がある。いい意味でマルチに動ける会社でありたいです」。
とは言っても、未だ広報やPRの部署を置いていない企業も少なくなく、世の中に“PR”という言葉が浸透しているとは実感できていないと西橋さんは言う。「私たちがPRを勉強し続ける必要があることは言うまでもありませんが、実際、お客さまがPRにどれくらい知見を深めていらっしゃるかでこちらが提案できる内容も変わってくる。今後は“PRのPR”をしながら、業界の枠にとらわれず、いろいろな場所でPRが盛り上がるような取り組みにもチャレンジしていきたいです」。
同社が所属するベクトルグループは現在、PR会社を舞台にした映画『東京PRウーマン』を制作中。今年の8月に公開予定だ。「これを見れば、PR業界を楽しく理解いただけると思います」と西橋さんも期待を寄せる。
企業DATA | |
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企業名 | ベクトル |
所在地 | 東京都港区赤坂4-15-1 赤坂ガーデンシティ18F |
代表者 | 西江肇司 |
従業員 | 449名(2015年2月末現在) |
沿 革 | 1993年、創業。戦略PRを軸に、PR企画立案及び実施、PR業務代行・コンサルティング、ブランディング業務、IRコミュニケーションなど多岐にわたる。14年11月に東京証券取引所市場第一部へ市場変更。 |
イニシャル(ベクトルグループ)マネージャー
早稲田大学を卒業後、2012年にベクトル入社。ITベンチャーから大手ディベロッパーなど、戦略立案担当として幅広いクライアントのPR業務に従事。
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