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次代のPRパーソン

医師やメディアを巻き込み医療を正しく伝える ココノッツのPRパーソン

ココノッツ

主要なPR会社の現場で奮闘する若手・中堅のPRパーソンに、現場の仕事や今後のPRのあり方について聞く。

超高齢社会を迎えている日本において、今後も市場規模の拡大が予想される分野といえば、ヘルスケア業界だ。しかし、「ヘルスケアほど、先々の展開が見えにくい業界はないと思います」と、製薬や医療機器メーカーのPR活動を支援するココノッツの松井友里氏と青木唯香氏は口をそろえて語る。

「この業界は一般的な消費財のように、発売時に合わせてキャンペーンを打ち、売上を伸ばすというシンプルな手法だけでは成果が得られません。製品がリリースされる前から活動は始まり、医師や患者の理解を得ながら、長期的に製品と向き合う必要があります」と松井氏は言う。

しかし、その“理解を得る”ことは容易なことではない。例えば、松井氏が手掛ける外資系製薬メーカーのワクチンにかかわるプロジェクトでは、世間のワクチンへの誤解や偏見が最初の難関であったという。「インフルエンサーとなる病院の先生方に積極的にご自身の意見を発信していただけるような空気感をつくることも広報活動の重要なポイントです。しかし、ご自分の意見が思いがけない報道につながるなど、過去の苦い経験から取材を受けることを躊躇する先生も。そこで『日本のワクチンギャップを埋め、子どもたちに健康を届けたい』という想いを受け止めていただけるよう、記者の皆さんに基本的な知識を学んでもらうことから始めました」。プロジェクトは松井氏の入社前に始まり、約6年にわたる地道な活動の成果もあって、報道も格段に増えた。

こうした世論形成に加え、同社ではメディアへの正しい医療知識の共有も積極的に行っている。青木氏が運営を手掛けるNCNPメディア塾は、国立研究開発法人である国立精神・神経医療研究センターが主催する記者やジャーナリストを対象にした勉強会だ。精神や神経疾患などの基礎的な知識を学ぶ機会を提供し、信頼性の高い報道の実現を図ることを目的に開催している。

「精神疾患や神経難病は社会的な事件とかかわることも多く、誤解も生じやすい分野です。そのため、十分な知識を持たずに取材すると、かえって偏見を生むことにもなりかねません。そこで、『報道機関の記者には専門的な知識を持ってほしい』という声が現場から寄せられていました」と青木氏。メディア塾を受講した記者からは、「精神・神経領域を基礎から包括的に学ぶことができた」という感想があがっているとのこと。今後の医療ニュースの質の底上げにもつながりそうだ。

ココノッツの地道な活動は個々の製品だけでなく、医療全般のイメージ刷新につながっているが、広報活動を理解している企業はまだ少ない。「今後は、PR活動の重要性を広めていくとともに、人々の健康に貢献する医療情報を提供していきたい」と二人は語る。

 

企業DATA
企業名 ココノッツ
所在地 東京都千代田区平河町1-1-8 麹町市原ビル10F
代表者 君島邦雄
従業員 8人
沿革 2008年設立。製薬企業、医療機器企業、医療業界団体などヘルスケア分野に特化した広報コンサルティングファーム。医学や薬学の知識をベースに、最新の医療技術、医療制度などの知見を強みとする。

松井友里(まつい・ゆり)

メディア関連企業を経て、2013年にココノッツに入社。主なクライアントとして外資系製薬会社、医療機器メーカーなどを担当。

青木唯香(あおき・ゆいか)

PR会社を経て、2014年にココノッツに入社。主なクライアントとして国立精神・神経医療研究センターなどを担当。

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