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予算・経験ゼロからの記者発表

メディアトレーニング講師が明かす、逆風の記者会見を乗り切る話法とは

山口明雄氏(アクセスイースト 代表取締役)

自社の商品やサービスをメディアに売り込みたい時と比べ、交通事故、爆発事故、情報漏えい、医療ミスなど緊急時の記者会見にはスキルが必要だ。「答えようとするのではなく、自ら説明しようという意識が大切」。これまで3500人余の企業経営者らにメディアトレーニングしてきた山口明雄氏は話す。

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結論から話す「逆ピラミッド」は記者に想像の余地を与えない
テレビ、新聞などメディアは全て、「報道文体」でニュースを伝える。一番大事な結論、次に大事な理由・原因、と重要度順で話す「逆ピラミッド」の話法にすれば、記者に情報の全体像がスムーズに伝わり、細部についての余計な憶測が生まれづらくなる。

記者に想像の余地を与えない

テレビ、新聞などメディアは全て、「報道文体」でニュースを伝えます。この報道文体は、重要度順で話す「逆ピラミッド」(上図)でできています。つまり、まず初めに結論、2番目に一番大切なこと、多くの場合は結論をもたらした理由・原因、3番目、4番目とその次に大事なことを伝えます。話の発端や背景は、通常いちばん最後です。私たちは普段、時系列順に話す方が自然体かもしれませんが、メディアを相手に仕事をする広報は、この話法を身につけるといいでしょう。

報道文体は、概略を知りたい人、ある程度細部まで知りたい人、かなり詳細な情報を知りたい人、とさまざまなレベルの人を満足させることができる構成になっています。私たちも新聞を読む時、まずは「見出し」を眺め、興味を持てば5W1Hで概要を説明した「リード」を読み、さらに細部を知りたいと思えば「本文」を読み進めます。報道文体で執筆する記者は、この構成が頭に入っています。忙しく、時間がなくてもこの文体ならば話が通じやすいはずです。

緊急記者会見における冒頭スピーチでは、この報道文体を活用するのが効果的です。緊急記者会見においては話し手が主導権を握ることが何より重要だからです。テレビで見る緊急会見は数十秒ですが、実際には20~30分、もしくはそれ以上の時間、会見が行われています。その最初に行われるのが、3分から10分程度の冒頭スピーチで、その後質疑応答に移ります。冒頭スピーチで結論を明確に語り、理由や背景、被害の内容や対応策などの詳細について重要度の高いものから簡潔に説明できれば、記者はそれを土台に質問し、細かな憶測に話がいきづらくなります。これが物語調に時系列で話されれば、「こんなこともあんなこともあったのでは?」と想像の余地を与えてしまいます。「答える」というよりも「自らすべてを説明する」という意識が肝要なのです。

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