リテール領域における販促DX支援、コマースやオウンドメディアを起点としたデジタル施策設計など、統合的な販促ソリューションの提案から実施・運用支援を行う電通プロモーションプラス。そんな同社でショッパーマーケティングに取り組んでいる統合プランニング事業部 本間立平氏に話を聞いた。
電通プロモーションプラスが考える2024年のショッパーインサイト
●節約のために安い商品を選ぶことが面倒になるショッパーが増加
●度重なる値上げでメーカーへの不信感が募りはじめる
メーカーが準備すべきこと
●短期的な売上だけを目標にするのではなく、末永く利用してくれるファンを創出することを意識
●「節約疲れ」に寄り添うメッセージや切り口での売り場展開
●「一体感」を生み出すため、ショッパーへの信頼を可視化する
電通プロモーションプラスでショッパーマーケティングを担当している私ですが、常に意識しているのは「ショッパー」と「コンシューマー」の意味を別に考えること。メーカーが製品を開発する際に、ユーザー像として描いているのは、「コンシューマー(消費者)」です。どんな性別・年代か、どんなニーズがあるのかといったことから需要を予測し、販売目標が立てられます。
しかし、商品が店頭に並ぶようになると、予想と異なる結果になることがあります。例えば、「目立つパッケージにしたのに手に取られない」「競合商品のPOPが秀逸で、客を奪われてしまう」といったことです。こういったことを考えると、ショッパーインサイトを把握して購買検討段階における課題に向き合うことはとても重要だと言えます。
長く来店してくれるファンを育成する
2023年はありとあらゆる物価が上がった「値上げの年」でした。2024年になってもこの厳しい状況は変わらないでしょう。順当に考えると、ショッパーの財布のひもはさらに固くなり、安価な商品を厳しく探索するようになると思われます。
しかし、ショッパーマーケティングの視点から見ると、疑問が残ります。というのは、「商品を探す・選ぶ」という行為は、時に苦痛だからです。事実、「節約のために、商品や店を吟味することに疲労感を感じている人」が増えており、インテージの自主調査によれば、44%の人が「節約疲れ」の傾向にあることがわかっています(図1)。

図1 節約疲れについて
「節約疲れ」を感じている人が全体の44%、約半数にものぼることがわかる。
また、節約に疲れた結果の変化について聞いたところ、「安いものを探すのが...