営業が売り場を提案する際にも、ショッパーインサイトを把握しておくことが有利に働く場合もある。しかし、メーカーにとって彼らのインサイトを掴むことは、流通を介しているがゆえに難しいことも多いはずだ。メーカー営業の担当者は、実際のところ、どのようにしてショッパーのインサイトを掴んでいるのだろうか。文具・日用品メーカーで働く営業担当に話を聞いた。
人は直感で意思決定を行い商品を購入している
──「ショッパーインサイト」をメーカーが把握しておくべき理由として考えていることはありますか?
当社は、筆記用具やノート、事務用品などの文具、他にはオフィスチェアなどの家具を取り扱っています。私はリアルな店舗へ向けたステーショナリー営業を2014年から担当しており、普段はスーパーマーケットやホームセンター、文具・雑貨専門店と商談を行っています。
そんな中で、どういった属性のお客さまが自分たちの製品を購入しているのか、一緒に多く買われてるものは何なのか、店舗ごとの在庫消化率などは、メーカーの営業担当者として当たり前に知っておくべき情報だと思います。それに加えて「ショッパーインサイト」、つまり店頭にいる購買者の方が考えていることそのものについても理解が必要だと考えています。
──流通を介するメーカーにとって、店頭にいる購入者のインサイトを掴むことはハードルがありそうです。
たしかに、売り場にいるショッパーに直接会ってお話する機会は多くないですね。ですがそんな中でも、買い物をされている方のインサイトを掴むためにできることはあると思っています。
私が日頃から行っているのは、自分が買い物をするときにさまざまな売り場を積極的に見ることです。特に化粧品エリアは目を引く什器や売り場が多いため、気になった仕組みや構造は提案の際の参考にできるよう、チェックするようにしています。
売り場の視察は基本的なことかもしれませんが、「上手い」と思う売り場で展開されている什器やPOPは、きっとショッパーの心も、流通の担当者の心も動かしているはずです。担当ブランドでも応用できるものがないかは、競合でなくとも実際の店頭で常に探しています。
また、自社で行う実演イベントなどに訪れた方とは積極的に会話するようにしています...