ショッパーマーケティングを専門とする「ショッパーマーケティング事業局」を持つ博報堂。生活者へのブランドマーケティング、流通業に対する消費財業界のトレードマーケティングやショッパーマーケティング領域の支援を行っているのが同組織だ。「ショッパーマーケティング事業局」は2024年のショッパーをどう予測しているのか。
博報堂が考える2024年のショッパーインサイト
●賢く買い物したい
●ECとリアル店舗を上手に使い分ける
●手軽に社会貢献したい
メーカーが準備すべきこと
●リテールメディアを活用した販促キャンペーン
●つい“欲しくなる”出会いの演出
●サステナビリティな商品や販促の企画開発及び、訴求
マーケティングの有名なフレームワーク「4P」の“Place”からもわかるように、商品が棚に並び、ショッパーが実際に手に取って購入するという行動が生まれる“店頭”は、ブランドにとって重要な要素であることは言うまでもありません。同じ棚に並んだ競合ブランドと比較して、自社ブランドを選んでもらえるようなマーケティングプランを考えることは必要不可欠です。
大前提として、メーカー営業の方は、担当する流通各社と継続的な関係性を構築する必要があります。そのためには、商品を流通に納品する、店頭で商品が売れる、また商品を流通に納品する、という正のサイクルをつくらなければなりません。つまり、商品を納品して終わりではなく、いかにセルアウトさせるかまで一貫した提案、及びサポートを行うことが求められるのです。
そして、このように正のサイクルで商品が回転するよい提案を行うためには、担当する流通に来店する人たちにどのような属性が多いのか、買い物の主な目的は何か、店内でどのような買い物行動をとっているのか。いわゆるショッパーを把握しなければなりません。
博報堂のショッパーマーケティング事業局内に2022年から新設された「トレードマーケティング推進グループ」は、上記のような「売り場で自社ブランドを選んでもらう」ためのマーケティング支援を行う組織です。本稿では、そのような中で見えてきた「2024年のショッパーインサイト予測」をお伝えします。
ECとリアル店舗を賢くシームレスに使いこなす
私が2024年に注目しているショッパーインサイトは大きく3つあります。
1つ目は、“賢く買い物したい”という意識です。2022年から2023年にかけての値上げで物価が上昇した一方で、生活者の収入はその物価上昇幅ほど上がっておらず、実質賃金は下がっている苦しい状態が続いています。こうした環境下では、生活防衛のためになるべく“賢く”“お得に”買い物しようという行動が今まで以上に強まると考えられます。
例えば、流通各社のアプリなどを通じて配信されるクーポンやポイント還元販促などの...