2000年に創業したマーケティングリサーチ会社、マクロミル。消費者購買履歴データ「QPR」での消費者動向チェックサービスを活用した調査や、ウィークリー生活者定点観測調査などで、リアルタイムな消費者動向を保有している。そんな同社が考える2024年のショッパーインサイトとは。
マクロミルが考える2024年のショッパーインサイト
●キャッシュレスが普及し、ポイントの価値が高まっている
●今まで通りの節約意識は継続しつつ「買い物の楽しさ」が徐々に復活する可能性がある
●「目的買いショッパー」と「価格に敏感なショッパー」の二極化
メーカーが準備すべきこと
●デジタルキャンペーンなどで消費者の購買意欲を刺激する
●「買い物の楽しさ」復活に向けて、非計画購買を促す売り場づくり
●二極化するショッパー、どちらに訴求するのかを見極める
まずメーカーの営業担当者がショッパーインサイト領域で注目すべきなのは、流通各社が同領域のデータ活用に注力しはじめているという点です。近年、当社にも流通企業からデータ活用に関してのご相談自体が増えました。従来アカデミック領域やメーカーの活用が多いショッパーインサイトでしたが、直近では注力する流通企業も増え、ビジネス文脈での活用が進んでいます。
流通企業からショッパーインサイト関連の調査相談が増えている背景には、人口・世帯数の減少によるオーバーストア、店舗過剰があります。つまり、数年前には一般的だった「店舗を増やして売上を増やしていく」といった考え方が、通用しなくなってきているということです。
そのため流通各店においても店舗が余っている分、自店舗に訪れる人数が目減りしていく現状を踏まえて「自店舗に来てもらえるための施策」「非計画購買を増やして来店ごとの購入金額を増やす」といった点に注力する動きは強くなっていくと考えられます。
買い物の楽しさが復活し非計画購買が増える?
そういった中で、メーカーが押さえておくべきショッパーインサイトとはどのようなものか。まず1つ目には、キャッシュレスが普及し、ポイントの価値が高まっていることが挙げられます。メーカー側にとっても、日々多くの新商品が登場する中で「差別化」を図ることは年々難しくなっています。このような状況下では、アプリ上でクーポンを配布する、キャッシュレス決済の場合にはポイントを還元するなど、店頭と連動したデジタルキャンペーンなどで消費者の購買意欲を刺激することが効果的だと考えられます。
2つ目は2023年に引き続き、「物価上昇による貯蓄意識」です。2023年では...