長年EC事業サポートを得意としてきた大広が2021年、「顧客に価値あるブランド体験」をマーケティング活動へ実装することを目指し、顧客価値開発本部を組織した。同組織内で生活者インサイトの発掘やビッグデータの分析を手がける清水 純氏が、2024年のショッパーインサイトを予測する。
大広が考える2024年のショッパーインサイト
●生活者の購買行動の分析慣れから来るデジタルに対する意識変化
●狙った商品しか買わない購買が増加しているもののリアルの買い物が楽しいと改めて感じている人もいる
メーカーが準備すべきこと
●ショッパーインサイトを捉えるために、デジタル・AI慣れをしておく
●思いがけない出合いから生まれる「セレンディピティー消費」を意識
2024年のショッパーインサイトを考えるにおいては、アフターコロナを踏まえた2つの視点が必要であると考えます。1つ目は、「生活者の購買行動の分析慣れから来るデジタルに対する意識変化」。2つ目は「セレンディピティー消費」です。
デジタル化が進んで行動分析に慣れはじめた
まず、生活者のデジタルに対する意識変化について。コロナ禍を経てオンライン化やデジタル化が進み、ユーザー自身で個人情報を入力するシチュエーションが圧倒的に増加しました。その結果、生活者がデジタル慣れしたのではないかと考えます。
図1は「ショッピングセンターに買い物に行った時に、“買い物中の行動”や“しぐさ”から購買行動が分析される代わりに、“買い物時に利用できるポイントを自動付与する”ような取り組みがあった場合のお気持ちをお教えください」という調査の結果です。コロナ前後で比較すると、2020年1月は「ぜひ行きたい」「行きたい」合算で63%、2023年1月は76%でした。この結果からも、生活者がデジタルに慣れ、購買行動を分析されることに対する抵抗感が薄れてきたと捉えることができるのではないでしょうか。
vつまり、自分の行動や情報は自分だけのクローズなものであるべきだとされた価値観が変化し、恩恵があれば(あるいはなくとも)行動や情報は分析されても気にしない。こういった価値観が、2024年はより広まっていくと考えられます。
また、2023年は記録的にAIが発展し、ChatGPT、DALL・E3をはじめとして...