消費者の低価格志向が根強く続くなか、人件費の高騰が止まらない。安さを求める顧客ニーズに応えるためには、より人手をかけずに運営できる店舗を設計するほかない─。枯れた技術の水平思考よろしく、いくつかの設備を組み合わせた居酒屋が、東京・新宿にオープンした。
飲食業界を取り巻く厳しさ 業態変化で生き残り
居酒屋「てけてけ」などを展開するユナイテッド&コレクティブ(U&C)は11月22日、"ファストフード居酒屋"と銘打った「やきとり魁」(東京・新宿)をオープンした。
U&Cの坂井英也社長は、"ファストフード居酒屋"について、「通常のファストフード店と同じように先にレジで注文・会計を済ませ、商品を受け取って好きな席で食べ、食器を返却台に戻して退店する、セルフオペレーション形式の居酒屋」と説明する。「やきとり魁」では、人件費を圧縮して販売価格を下げ、気軽に入れて1000円で満足できる、いわゆる"せんべろ"の実現を目指す。
こうした業態を選んだ背景には、「人手不足による人件費の高騰がある」(坂井社長)。東京労働局が2018年5月に取りまとめた「一般職業紹介状況」では、「接客・給仕の職業」の有効求人倍率は8.21倍となった。同年11月時点での東京都の最低賃金が時給985円のところ、「やきとり魁」のアルバイト時給は1200円。しかし、「それでも採用は簡単ではない」(坂井社長)。
また、原材料費や賃料の高騰も利益を圧迫している。一方、消費者の節約志向は根強く、外食産業は低価格化が進む。なかには値上げを試みる居酒屋チェーンもあるが、厳しい結果を突き付けられているという。
「こうした状況を打破するために開発したのが『やきとり魁』です」(坂井社長) …