認知度と購買意欲のバランスをどう取るか。より多くの人に知ってもらえても、買われなければ意味がない。ならばと購買が見込めそうな人にのみ知らせればどうか。効率がいいようだが天井は低い。ターゲットでなくても話題にしていることがヒットの要因だからだ。答えのない課題に、タイガー魔法瓶が挑んだ。
詩的なメニュー名に反響 予約は10時間で一杯に
タイガー魔法瓶(大阪・門真)は10月19日~21日、土鍋IH炊飯ジャー「炊きたて」をプロモーションするレストラン「La Donabe(ラ・ドナベ)」をオープンした。3日間でのべ約700人が参加した。会場は「代官山T-SITE GARDEN GALLERY」(東京・渋谷)で24席。1回30分の全席完全入れ替え制で、1日あたり10回実施した。料理を含めてすべて無料。
レストラン「La Donabe」で提供したメニューの種類は7種類。「ほろ苦さが教えてくれたのは、朝焼けの完璧な静寂」「やがて少年は気づく、それが一かけらの永遠だったということに」などと文彩を添えた料理名を冠し、見た目も高級料理のように仕上げた。
しかし、基本的にはおにぎりだ。料理名とのギャップが受け、オープン前からWebを介して話題が広まった。「おにぎりポエムだ」などと言及され、トレンドワード入りするなどの反響が後押しし、予約受付開始から10時間で事前予約分の480席すべてが埋まった。残りの席は当日枠とした。
開催中は、来店者に前述の7種のうち1品をランダムに提供したほか、裏メニューとして、「塩むすび」を用意。メニュー名は「愛、そのもの」とした。
ソーシャルメディア投稿などを通じ、「Web上に、タイガー魔法瓶ブランドへの好意的な反応はもとより、『塩むすび=土鍋ご飯がおいしい!』というポジティブな商品体験コメントを可視化できた」と、企画立案に携わった電通の加我俊介氏は説明する …