トビー・テクノロジー(東京・品川)は10月5日、東京都内で「成功事例に学ぶ パッケージの戦略と棚割の最適化のヒント」を主催した。第1部では、日本コカ・コーラのマーケティング本部の富重豪グループマネジャーが、続く第2部ではトビー・テクノロジーの蜂巣健一社長が登壇。第3部ではカゴメの営業推進部営業企画課の安藤康洋担当課長が講演した。
アイトラッキング技術がパッケージや棚割の最適化に貢献
第1部に登壇したのは、日本コカ・コーラで炭酸飲料のブランド戦略や商品企画の立案を行う富重豪氏。パッケージデザインの重要性をブランド戦略の観点から話した。
富重氏は、同社におけるデザインの考え方について「いいデザインは競争上の強みになる」と語り、デザインの意義はブランドの価値を高めること、製品の価値を五感で感じられること、容器としての機能性を備えていることの3つだとした。
さらに、「デザインは各ブランドのビジョンにひもづいたシステムを持たなければならない」と話し、同社ではブランドのシンボルや色、店頭資材の素材感などを規定したガイドラインをつくり、それに沿って広告や売り場でのコミュニケーションを展開していることを明かした。
例として、同社のブランド「ファンタ」のポップではじける楽しさと炭酸の泡を表した、球体が3つ連なったような形のPETボトル「バブルボトル」を挙げた。2006年から採用したもので、ユニークさと持ちやすさを兼ね備えた容器だという。また最近の例として、「#もうすぐ誕生日」などハッシュタグのついたワードが描かれ、リアルの場でも、SNS上においてもコミュニケーションを誘発するようなデザインのボトルを紹介した。
第2部には、トビー・テクノロジーの蜂巣健一社長が登壇。同社の技術「アイトラッキング」について、マーケティングへの活用事例や、関連論文の紹介なども交えながら説明した。
アイトラッキング(視線計測)とは、センサーを使って眼球の場所と向きを計測し、人がどこを見ているかを明らかにする技術のこと。学術研究の世界では50年ほど前から使われているが、近年はマーケティング調査にも用途が拡大され、商品パッケージや棚割、販促物、広告、ユーザビリティなどの分析に広く利用されている。消費行動プロセスを注意、興味、印象、記憶、理解の5段階とすると、アイトラッキングが得意とするのは、注意、興味を測り、さらに、何を見て印象、記憶、理解に至ったのかを探ることだ。
加えて、新商品パッケージの方向性、商品を購入する際の店頭における購買行動、年代や顧客タイプによってどのような棚割りにすれば選びやすいと感じてもらえるのか、などを、実際にアイトラッキングを用いて調査・分析した事例なども紹介された。
第3部ではカゴメの安藤康洋氏が登壇。新ブランド「GREENS(グリーンズ)」の販売戦略について話した。
「GREENS」は2015年9月に、コモディティ化した紙パックの野菜ジュースから、より素材感、鮮度を感じられる特徴的な商品を目指し、透明容器に入った「生鮮飲料」をコンセプトとして誕生した。当初関東で先行発売したものの、売れたのは一部のトレンドに敏感なエリアのみ。グループインタビューなどの顧客調査を重ねた結果、生鮮飲料というコンセプトが伝わりづらく、スムージーだと思われているということが明らかになった。
そこでコンセプトを「無添加100%スムージー」に切り替え、広告やPOPなどもすべて同様のワードで訴求。結果、幅広いエリアで買われるようになり、売り上げは向上した。その後小売店でスムージー関連商品を集めてコーナー化し、視認性を高める戦略を実施したところ、売り上げはさらに拡大。安藤氏は「お客さまから見えた価値をよりわかりやすく示していったことが売り上げ増加に結びついた」と分析した。
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担当:藤井