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話題のイベント、人気商品の企画書大公開!

メンタリストDaiGoが指南!相手の心を読み、企画を通すプレゼン術

メンタリスト DaiGo

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企画、プレゼンの場で「相手の感情をつかむ」にはどうしたらいいのか。行動や態度、言葉などから相手の心を読み解き、思うままに誘導する技術「メンタリズム」を駆使する、メンタリストDaiGoさんにインタビュー。メンタリズムを応用しビジネスパーソン向けのセミナーや書籍も展開しているDaiGoさんは、相手の「感情を揺さぶる」ことが企画・プレゼンでは欠かせないと指摘する。

一つに絞ったメッセージを10通りの言い方で伝える

あなたが一生懸命つくった企画書を見せる相手は、普段からたくさんの企画書を見なければならない立場の人ではありませんか? 企画書は全部読まれるという前提でつくってはいけません。どこか一部分でも心に残ればいい、というつくりにしておくことです。なぜなら自分が期待するほど相手は内容を覚えていないからです。記憶に残す企画書をつくるには、まず「これだけは絶対に伝えたい」というメッセージを一つに絞り、それ以外の情報は捨てるぐらいの勇気を持つことです。そしてどこを見てもそのメッセージが伝わるように、企画書の中で繰り返します。ある実験では、陪審員に対して、どれくらい証拠を提示すれば被告を有罪とするかを試したところ、2~3回繰り返した時の説得率が46%だったのに対し、10回繰り返すと説得率は82%に跳ね上がりました。そのことからも分かるように、重要なメッセージは繰り返すことで、無意識のうちに相手の記憶に焼きつけることができます。

私もプレゼンの資料やセミナーでは、言いたいことを10回以上繰り返すことを心がけています。特定の言葉を強調し、相手の無意識に働きかけて誘導するテクニックは、メンタリストがよく使う手法ですが、企画書でも活用できます。

繰り返すと言っても、同じ文言を何度も企画書に入れるわけではありません。少しずつ表現を変えることが大切です。言い方や切り口によって、同じ企画内容でも人の反応は異なります。心に響くメッセージは人によって違いますから、企画の魅力をさまざまな表現で繰り返すことが効果的です。「この企画のどこが面白いの?」と尋ねられた時に、企画のアピールポイントを10通りの異なる言い方で伝えられるようにバリエーションをつくっておき、それを企画書の中に散りばめればよいのです。そうしたボキャブラリーを増やすために小説を読むのもおすすめです。

企画のアピールポイントが、ありきたりになってしまう時は「だからどうした?」と問い続ける手法を試してみてください。「PRしたい商品は〇〇です」「だからどうした?」「これまでの商品にはない〇〇ができるようになります」「だからどうした?」と、ゲームのように問答を続けていく。すると、ただウンウン悩みながら考えていただけでは絶対に出てこないような訴求ポイントを掘り当てられます。「だからどうしたゲーム」は、複数で行うのがよいでしょう。自問自答だと壁が出てきた時に答えをあきらめてしまうかもしれませんが、人から「だからどうした?」と聞かれると、頭をフル活用して答えを見つけようとします。

相手の感情に合った企画の表現を見つける

企画は理屈では通りません。人間の意志決定のプロセスには、まず「感情」があり、それによって「行動」を起こし、後から理屈で「納得」するという三つの段階があります。従って相手を動かすには、いかに「感情」に訴えるか、が大事。相手の感情のフィルターを通るように、企画の表現を変えていくのです。相手の感情が動き、興味を持ったら、その部分に重きを置いてプレゼンすればいいのです。毎回同じ長さでプレゼンする必要はありません。

感情に訴えるための近道は、相手を観察し何を求めているのかを知ることです。人は普段使っている言葉や自分に関係あるフレーズがあると、意識しなくても情報が耳に届くもの。それをうまく利用すればいいのです。1対1のプレゼンの場合、表情や言葉から心理状態を読み取ることが比較的簡単ですが、1対多数のプレゼンの場合、相手はなかなか発言しないので難しい。そういう時は目線や口の開き方といった相手の体の動きを見て判断します。例えば、口もとがリラックスして軽く開いている時は、話に興味を持ってくれている。口をへの字に結んでムッとしている、腕を組む、体の重心が横に傾いている時は、否定的に受け止められています。

もし否定的な雰囲気になった場合、相手の感情を動かす一番いい方法は、体を動かすことです。例えば、プレゼンしている商品を触ってもらうなど、何かしらのアクションができるように用意しておくといいでしょう。集中力が落ちてくる頃に、体を動かしてもらうと、一瞬で場の雰囲気が変わり、相手の感情をリセットできるのです。また人間は、同じ室温が続くと飽きやすいので、あえて部屋のエアコンを調整するのも効果的です。

人が集中できる時間は15分~20分だと言われています。ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスは、人間の記憶は最初に聞いた時を100%とすると20分後には42%を忘れてしまい、その後も時間の経過とともに記憶が失われていくと指摘しています。プレゼンも最初の20分が勝負。そこで重要な情報を何度も繰り返して、相手の記憶に深く刻みこみます。私が講演する時は、最初は話すスピードを上げて、相手に考える余地を与えないようにし、メッセージが伝わり始めたら、後半はゆっくり話すように調整しています。

感情を揺さぶり企画を採用へと導く

プレゼンでありがちなのは、企画書の朗読。「言い忘れがないように」と心配して、手元の資料を見ながら、1番、2番と順を追って説得していこうとするプレゼンです。しかし、この方法だと、順番が飛んだり、途中の印象が悪かったりするとその先を聞いてもらえない可能性があります。私は、一つ二つ言い忘れたぐらいで質が変わってしまうようなプレゼンではダメだと考えています。「1点集中の理論」と呼んでいますが、言いたいことを一つに絞り、それを捕捉する情報や例えをその周りに散りばめて、いろいろな方向から自分が伝えたいメッセージにアプローチする。このスタイルのプレゼンならば、1番がダメでも2番で感情に訴えることができるかもしれない。複数の人にメッセージが刺さる確率も高くなります(図参照)。

またプレゼンの前にセリフのメモをつくっていませんか? プレゼン内容を頭に叩き込むことはもちろん必要ですが、セリフを書き出すくらいなら、プレゼンの中で相手のテンションをどのように上下させるかをメモしたほうがいい。企画を通すのに大切なのは、相手の感情を揺さぶることなのです。

「最初のスライドでテンションを上げて、ここで少し落ち着かせるために根拠のデータを出す」というようにプレゼンの起伏をつくると、相手は飽きません。プレゼンは、説得の場と思わずに、「聴衆を楽しませる場」と捉えた方がいいと思います。心を動かすプレゼンのつくり方は、ショーと似ています。最初は分かりやすいパフォーマンスで興味を引き、苦戦してみせて感情を揺さぶり、最後に大きな成功を見せる。すると聴衆は「すごい!」と感動するのです。

優れたリーダーは、ビジョンとそれを実現するための計画、両方を持っていると言われますが、企画を実現に導くプレゼンターも全く同じです。大きなビジョンを語って、感情を動かす。次に現実的な具体策を語って相手に行動を起こさせる必要があります。夢のある大きなビジョンを最初にバーンと出すと多くの人は「そんな大げさな」とか「話半分に聞いておこう」と思います。そこであえて「机上の空論だと思われたでしょうね」と相手の感情を先回りし、「ですが、我々には具体的な計画がこれだけあります」とぶつけると、「お!すごいぞ」と説得力が高まります。

感情を揺さぶるには、最初に提示するビジョンを徹底的に大きくすること。中途半端だと「そうなんだ」と納得する人や「本当かな?」と思う人など、考えがバラバラに分かれてしまい、説得しにくくなります。とにかく全員を「無理だろう」と思わせることが重要です。その上でデータを出してさまざまな方向から実現に向けて説得していく。すると「どうやって実現していくのか」と相手は考えるようになります。最終的には「企画を実施する」前提の選択肢しか選べないように提案するのです。

そうして最後には相手に「自分が選んだ」「この企画を採用すると決めたのは自分だ」という認識を持たせることが大事です。「採用してください」と直接的に言うと、相手は「どうしようかな」と考え始めてしまいます。人は他人から言われたことは否定できますが、自分が感じたことはなかなか否定できません。ですから、自分が選んだとなれば、企画実現のために協力してくれるでしょう。

プレゼンは未完にして内容を相手の記憶に残す

プレゼンを未完のまま終えるのも、心を揺さぶるテクニックの一つです。「次の展開の具体的なアイデアもありますが、今日は時間の関係もありますのでここまでにしておきます」と、次があることを示唆して終わります。途中で終わった方が相手の関心が高まり、印象に残りやすいのです。これを「ザイガニック効果」と言います。課題を全部終わらせたAグループと、途中までしか行わなかったBグループでは、Bグループの方が内容をよく覚えており、結論を出してしまわない方が記憶の保持率が高いという結果報告も出ています。もし相手から「次の展開って何なの?」と聞かれたら、企画に興味を持っていることが分かります。

従って私が打ち合わせで企画提案する時も、あえて詳細な資料は使いません。つくり込んだ企画書を提出してしまうと、相手が下を向きながら読み始めてしまい、表情も見えなくなります。とは言え、先方に提出する詳細な企画書が必要な場合もあるでしょう。そんな時、私は企画書を3種類用意しておいて、プレゼンが終わってから相手のタイプに合わせて渡します。

(1)企画立ち上げの背景など、ドラマチックで感情に訴える内容の企画書、(2)データや数字を使った論理的でシンプルにまとめた企画書、(3)グラフや詳細な数字を集めた分厚いデータ集の三つです。(1)はハートに響くアプローチを好む人向き。(2)と(3)はデータを求める人向きですが、それぞれタイプが違います。(2)はデータを示して要点をズバッと言ってほしいタイプ、(3)はいろいろなデータを見たいタイプ向きです。シンプルに説明してほしい人に(3)のデータを渡すと、企画書のボリュームを見ただけで読んでもらえないかもしれません。でも、数字やデータを好む人なら、(3)の企画書を見て「この人は仕事ができる」と思う。相手のタイプに合う企画書を渡すことができれば、読んでもらえる確率はぐんと高くなります。

相手は何を求め、どういう考え方をするのか。それを知ることが企画の採用や、プレゼンの成功につながります。行動や態度から相手の感情を読み解き誘導するテクニックを、企画やプレゼンの場でぜひ活用してみてください。

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メンタリスト DaiGo氏

人の心を読み、操る技術「メンタリズム」を駆使する日本唯一のメンタリスト。テレビ番組へ出演多数。著書は累計60万部を突破。外資系企業の研修やコンサル、教育誌への連載なども手掛ける。著書に『一瞬でYESを引き出す心理戦略。』など。

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