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「黄金の方程式」をマスターすれば、企画書は怖くない!

博報堂ブランドデザイン プランナー 宮井弘之

企画書づくりに苦手意識があると、「何から書き出せばいいのか」と身構えてしまいがち。だが、『すぐできる!企画書の書き方・つくり方』の著者・博報堂の宮井弘之氏は「企画とはシンプルな構造でできている」と指摘する。企画書制作の初心者に向け、企画書づくりの基礎知識を解説する。

型を知れば企画書づくりは恐くない

企画書づくりが苦手と感じる人には共通して、「良い企画書とはこうあるべき」と、あまりに難しく考え過ぎる傾向がある。「良い企画書」の定義は人によってさまざまだ。レイアウトが美しく、ビジュアルに凝ったもの。充分に分析がなされ、論理力に優れたもの。あるいは、誰にも思いつかないような発想を披露するもの。どれも確かに「企画書」の質を上げるのに役立つかもしれないけれど、実は、それらは必須要件ではない。必要なのは、べき論ではなく、「企画書」の型を知ることだ。ここに、企画書制作にあまり慣れていない、あるいは、自己流でつくってきたが、どうも相手の反応がいまいちだという人のために、一つの方程式を紹介しよう。

企画書=事実+課題整理+解決策(+感情)

企画書とは「事実」「課題整理」「解決策」、そして「(伝え手の)感情」から成り立つ。つまり、企画書の中身は、「客観的な事実」「現在、説得対象が直面している課題」「その課題の解決策」という流れで続いており、これは、社外に提出する企画書だろうと、内々の企画書だろうと、どんなものでも変わらない。まずは、「企画書とは、事実、課題整理、解決策の、三つの要素からできている」ということを、しっかり頭に置いておこう。

さらにポイントとなるのが、最後に加えられている「感情」の部分。これは「なぜ、自分がこれを提案するのか」という根拠となるもので、「自分にしか提案できないアイデアである」「ぜひ自分に任せて欲しい」と、相手の感情へ訴えかける重要なものだ。通常人間とは、「勘定」よりもむしろ「感情」で動くもの。ぜひ、この感情パートを有効に活用したい。

今回は「企画書制作の初心者」を対象に、「企画とは非常にシンプルな構造でできているのだ」ということを示すために、「事実」「課題」「解決策」「感情」を、それぞれ1枚のシートにまとめてみる。皆さんの先輩や上級者のプレゼンでは、よりインパクトのある見せ方をする工夫が入っているため、必ずしも見た目はこの通りではないが、これら四つの要素が含まれているはずである。そこで、まずは素直に要素ごとに1枚で企画書をつくり、この手法に慣れたら、あとは自分なりの味付けをして、見せ方や順番を工夫すると良いだろう。

説得ストーリーのリアリティが相手の心を動かす

良い企画書づくりに大事なことが、企画書の型を知る以外にもう一つある。それは、「ストーリーに沿って提案する」ということだ。企画書をつくりながら、頭の中でそのアイデアが実現されていく過程がリアリティを持って描かれていなければ、当然、相手を説得することはできない。つまり、目標達成に至るストーリーを想像することができなければ、説得力のある企画書はつくれないのだ。企画書制作の上級者は、無意識のうちに頭の中でこうした下ごしらえを行っているが、今回は架空のケースを元に、目に見える形で“説得ストーリー”を組み立ててみる。そのために必要なのが下の図だ。

今回、あなたがフリーのウェブディレクターとして、これから「関東の中堅ホテルAのK支配人」に企画書を提出するという場面を設定する。ゴールは、「『インバウンド加速プロモーション』予算を来年度確保するように動いてもらう」ということ。ホテルAは、2020年の東京オリンピック開催に向け、「競合他社がまだ手をつけていない、インバウンド需要の取り込みを実現したい」と思っている。そこで、「外国人観光ガイドのボランティア経験」のあるあなただからこそ可能な、「訪日リピート回数別、日本を楽しむための情報コンテンツ提供」を実現し、最終的に「中長期的な訪日観光客集客の仕組みづくり」を目指していく。こうした企画をK支配人へ提案するため、一体、どういう企画書が必要になるのか、順を追って考えてみよう。

下のシート(1)を見て欲しい。これは、あなたが企画書にまとめた「ファクト」である。 ファクト(fact)とは「事実」のこと。実際に起こった事象や現実に存在する事柄を意味するものだ。ファクトは、大きく分けて「数値(世の中に出まわっている統計数字やニュースに含まれる数字。例えば、日本の人口や企業の売上高、成長率など)」と「事実(実際に起こっている事柄。例えば、テレビや新聞などで伝えられる事件や発表、企業が提供するニュースリリースなど)」の二種類がある。企業サイトやニュース・新聞などから集められるもののほか、ファクトをベースに売り上げの推移や成長率など、自分で数えたり計算したりして新しいファクトをつくることもできる。今回、あなたは統計や新聞記事などからシート(1)に記載されたようなファクトを見つけ出したとしよう。

ファクトの数は、多ければ多いほど良い。少なくとも、数値と事例を合わせて10以上は集めてから選別しよう。

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(1)ファクトのシート。「増加」「減少」など、数や規模の変化を出すと、相手に伝わりやすくなる。

課題はピンチかチャンスか解釈を加える

下のシート(2)には「課題」が示されている。課題とは集めたファクトから掘り起こされるもので、目標達成のために説得相手が解決すべき問題のこと。具体的には、客観的事実である「ファクト」にあなたなりの「解釈」を加え、「課題」を浮かび上がらせるのだ。「解釈」の加わらない「ファクト」は、単なる事実の羅列でしかない。そこにあなた独自の解釈を加えることで、あなたのオリジナリティが発揮される。充分、練り込んだ解釈を加えたい。初心者のうちは、例にあるように、言いたいことが満遍なく伝わるように多少文字が多くなっても構わない。

もう一つ、解釈を行う上で注意したいのは、「100人がその解釈を読んで、100人とも納得するようなものは、良い解釈と言えない」ということ。誰もが納得するようでは、それは、「解釈」ではなく「ファクト(事実)」である。「解釈」とは、自分自身の分析に基づいたものだから、当然、それに納得する人と納得しない人の両方がいるはずで、理想を言えば、「納得する人」が8割、「納得しない人」が2割程度いるものが「良い解釈」となるが、ここで気をつけたいのは、説得相手が「納得する8割」の中に入っていることだ。もし、「納得しない2割」に入っていると、ひっくり返すのが困難になる。

さて、「解釈」の結果、浮き彫りになった「課題」は、大きく分けて「ピンチ」と「チャンス」のいずれかに展開される。「ピンチ」なら未然に防ぐ手立てを、また、「チャンス」なら好機を確実に手もとへ引き寄せるための手立てを、企画書の中で述べれば良いのである。今回の例でいえば、あなたは(1)で集めたファクトから、「日本観光を楽しむ訪日外国人リピーター増加の『チャンス』」と判断。そこから、中長期的なプロモーションにおいて「安定的な顧客基盤の確立」を課題として導いている。この際、今回の課題が「ピンチ」と「チャンス」のどちらなのか、明確に示すことを心がけたい。

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