「くまモン」の生みの親は二人いる。キャラクターデザインを手掛けたデザイナーの水野 学氏と、「くまもとサプライズ」の仕掛け人としてプロデュースを行う小山薫堂氏だ。もはや"ゆるキャラ"とは呼べない、一流のプロフェッショナルによって生み出されたくまモンだが、小山氏でさえここまでの活躍は予想していなかったという。ますます活動の幅を広げるくまモン、さらには各地のご当地キャラクターと、企業は今後、どのように付き合っていけばいいのか。
プロモーション起用が"ニュース"になる稀有な存在
カゴメ「野菜生活100 デコポンミックス」のテレビCMは、小山氏が監修、ナレーションを担当。撮影は熊本と大阪、さらに九州新幹線の車内で行われ、熊本ではエキストラとして、約400人のくまモンファンが集まった。下はメイキングカット。
─2010年にくまモンが生まれた当初、商業的な目的でここまで活躍することを想定していましたか。
全く想定していませんでした。戦略的に今の状況をつくり上げたわけではないのです。
ロイヤリティフリーで企業の起用を促した理由は、企業の商品をメディアだと考えたから。テレビに出るのも新聞や雑誌に載るのも、商品のパッケージに載るのも同じだと考え、それでお金をもらうより、くまモンというキャラクターが世の中にあふれることの方がメリットが大きかった。さらに、地元の人たちがそれを利用して売り上げを上げられれば、熊本県の活性化を目指す我々にとっては好都合でした。もちろん、ここまで活動の規模が大きくなった今、熊本県ではくまモンの運営・管理に相当の費用がかかっています。ですから、その費用をまかなえる程度のロイヤリティが入るような仕組みづくりは検討する必要があるかもしれません。ただ、現在の熊本県の経済効果やPR効果を考えても、生きた税金の使い方になっているのではないかと思います。
─企業がくまモンを起用するメリットとは?
一番のメリットは、ニュースになりうること。これは今くまモンに人気があるからこそですが、例えば企業がキャンペーンに人気タレントを起用しても、なかなかニュースにはなりません。エンタメ系のメディアならありえますが、例えばBMWのコラボレーションは時事系のメディアでも報道されました。このPR効果は大きい。しかも、タレントと違って使用料は無料ですから、企業にとって価値のある存在だと思います。
AKB48のようなアイドルに近い魅力
では、なぜ今くまモンの活動にそこまで注目が集まるのか。