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AIの民主化で際立つ人間・文化の視点 世界のクリエイティブ

31人のクリエイターに聞いた海外アワード2023/注目事例

2023年の国際広告関連アワードの結果が発表された。それを受けて、クリエイターたちは今とこれからのクリエイティブをどう見据えているのだろうか。アワードの審査員や現地視察に赴いた人々、海外事例を定点観測しているクリエイターたちに聞いた。

Korean National Police Agency
「Knock Knock」
(Cheil Worldwide)

● Clio Awards:PR 部門ゴールドほか
● The One Show:インタラクティブ・オンライン&モバイル部門シルバー ● Cannes Lions:グラス部門グランプリほか

韓国で増加している家庭内暴力に対し、被害者の通報のハードルを下げられるよう韓国警察が導入した施策。スマートフォンから112 番(警察に通報する緊急ダイヤル)に電話をかけ、任意のボタンを2回押すと会話をせずとも通報ができる。アイデアはモールス信号から着想を得た。


コロナ禍でDVが急増したという課題に対し、加害者と同じ空間にいる被害者には、電話やメールによる通報が不可能だということへの課題設定をしたこと。またタイトルの通り2 タップで発信が可能というコンセプトも優れている。(萩原幸也)


クリエイティブの会社への依頼は、DVに対してどんな打ち手を実施すべきか? というものであり、キャンペーン的なものに落とし込まれる可能性はあった。この事例のすごさは、広告ではなくプロダクトを開発して、実際にDVを解決するツールをユーザーの手に渡したことと、頼まれた内容以上のデリバリー、課題解決ができたため、それを韓国警察がオフィシャルなツールとして政策に採用したという創造的なアクションの連鎖や意思決定の流れ。(石川俊祐)


社会問題に対し本質的な解決を目指すつくり手側の強い姿勢を感じた。日本にも似た試みは多数あるが、本当にユーザーの状況やインサイトを捉えているかは疑問。本作は今後のお手本になりそうだ。(阿部光史)

IKEA
「Second Best」シリーズ
(David+Ingo)

● Cannes Lions:フィルム部門ゴールドほか、プリント&パブリッシング部門シルバー

IKEAの食事用子どもチェアや踏み台、赤ちゃん用ベッドなどのムービー。子どもにとっては、ご飯を食べるのも寝るのも、親と一緒が一番良い。2番手としての家具の謙虚な佇まいを描いた。


親が子ども用家具を選ぶ際の最初の選択肢はIKEAになるが、子どもからしたら親が一番なのは当たり前。そのインサイトを踏まえ、堂々と2番選手という位置をワンカットというシンプルな描き方で腑に落ちるコピーがいい。(泉家亮太)


動画には、「Proudly」Second Bestというタグラインが入る。その意思表明の仕方が、感じが良く洗練されている・・・

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