今年の各アワードにおいて、大きな話題となっていたのはやはり「AI 」。
世界のAI 活用事例にはどのようなものがあったのだろうか。
各クリエイターのAI の捉え方、またAI 関連トピックも振り返る。
( 各事例の受賞実績は、主な上位賞のみ記載)
Kraft Heinz /Heinz Ketchup
「A.I. Ketchup」
(Rethink)
● Clio Awards:ブランデッドエンターテインメント&コンテンツ部門ゴールド
● Cannes Lions:ソーシャル&インフルエンサー部門 シルバー
トマトケチャップの「Heinz」は、画像生成AI(DALL-E 2)に「ケチャップ」と入力すると、同社の商品にそっくりな絵が生成されることを元に、ユーザー参加型のキャンペーンを実施。消費者からさまざまなプロンプトを募集し、集まった画像をOOH などで展開した。
生成AI を広告に活用した事例。ベースに長年培ってきた強いブランドイメージがあり、それをうまく今の時代性とクロスさせている。(小山真実)
ローンチ直後、ネットユーザーがこぞってAI にケチャップを描かせたところ、Heinz とは全く違う絵がアウトプットされ続けて逆に話題になっていた。AI 企画の難しさを教えてくれるケース。(谷脇太郎)
Dove
「Toxic Influence」
(Ogilvy UK)
● Clio Awards:クリエイティブユースオブデータ部門・ブランデッドエンターテインメント&コンテンツ部門・プリント部門ゴールドほか
● The One Show:フィルム&ビデオ/ムービングイメージクラフト&プロダクション部門ゴールドほか
インフルエンサーの美容に関する間違った発信を真に受けてしまう10代の少女たちと、その母親たちに向けた啓発ムービー。ディープフェイク技術を用いて、母親がインフルエンサーの言葉を発しているような映像を制作。少女たちの置かれた状況と、インフルエンサーの発信内容がいかに異様であるかを浮彫りにした。
キャストも良く映像の構成や新技術をうまく企画に取り込んでいる。取り上げている問題の恐怖と新映像技術から感じられる恐怖が共存している。AI 技術の使い方もシンプルだが手が込ん...