「櫻坂46」の6枚目のシングル『Start over!』が6月にリリースされた。ジャケットやCMは、AIを活用して写真から空間を再現できる技術「NeRF(ナーフ)」を用いて制作したという。その裏側を聞いた。
ノイズを生む存在として櫻坂46を描く
『Start over!』のジャケットでは、渋谷の街の中に櫻坂46が存在する様子が描かれている。街自体もメンバーもノイズがかかったように歪み、煙の中にいるような、水面下にいるような幻想的な演出が特徴的だ。
クリエイティブディレクションを手がけたのは、電通zeroのクドウナオヤさん。
「櫻坂46を、アイドルとしてというより、日本の新たなアーティスト像として世界に向けて発信していってはどうか、と提案しました。坂道グループの中でも櫻坂46は特にクリエイティブに力を入れている印象があったので、チャレンジングな候補を3案ほど出しました」と振り返る。
その中でNeRFを用いた案が採用された。
「公開されている中では、おそらくまだアメリカのマクドナルドのCMでしか活用されていない技術。自分たちでも遊んでみたり、YouTubeなどで情報収集をしたりする中で、NeRFを使うならあえてノイズを出す表現が良さそうだと思いました」と、同アートディレクター柴谷麻以さん。良い意味で世界にノイズを生じさせる異色の存在として櫻坂46を描くべく、「Make Awesome Noise」をコンセプトに設定。
2016年に前身の欅坂46がデビューシングル『サイレントマジョリティー』のMVやジャケットの撮影をした“出発の地”である渋谷を舞台にした。
NeRFのディレクションをしたのは、Think&Craftのテクニカルディレクター村田洋敏さん。「普段こういった案件だと、なるべく綺麗にスキャンをする方法を考えますが、今回はノイズの乗せ方がポイントだったので、ノイズのほどよい入れ方を色々と検証しました。渋谷の街と櫻坂46のメンバーはそれぞれ別々にスキャンして、あとから合成させる形で制作が進みました」と話す。「いい感じのノイズが出るように、衣装もオーガンジー素材やメタリックな生地を使っていただいています」(柴谷さん)。
撮影後にアングルを決められる?
NeRFのデータ作成には3Dキャプチャツール「Luma AI」を使い、そのデータを...