二階堂ふみと金子ノブアキが自身のInstagramアカウントにアップした「♯15秒ランウェイ」動画。トミー ヒルフィガーのキャンペーンだが、企業アカウントではなく、タレントのアカウントを使った点が新しい。その実現の裏側にはどのようなプレゼンがあったのか。

タレントの公式アカウントを企業が活用
女優の二階堂ふみさんとアーティスト、俳優として活躍する金子ノブアキさんがInstagramのストーリーズ機能を使い、歩道橋や神社、電車の中などさまざまな場所でファッションショーのモデルさながらのウォーキングを披露する「♯15秒ランウェイ」が話題を呼んでいる。動画が投稿されたのは2人の公式アカウントで、動画上に企業名や商品名は記載されていないが、着ている服や店舗が映り込んでいることで、トミー ヒルフィガーが仕掛けたコミュニケーションだとわかる。
企画の経緯について、アサツー ディ・ケイ(ADK)のクリエイティブディレクター石山寛樹さんは次のように話す。「オリエンの内容は20~30代のブランド認知度を上げたいというもので、そのための方法は自由に考えていいということでした。企画に取りかかる前にクライアントにヒアリングを行ったところ、グローバルの潮流がデジタルになっているという話があり、担当の方のデジタルリテラシーも高かったので、デジタルを中心にした企画を考えることにしたんです」。
企画を考える上で重視したのは、トミー ヒルフィガーが掲げるフィロソフィーだ。CHERRY アートディレクターの大橋謙譲さんは、「グローバル共通で“ツイスト=ひねり”を効かせたブランドになるというメッセージがあるので、今回の施策にもひねった部分がある方がいいと考えました。その頃、よくタレントさんのInstagramストーリーズを見ていたのですが、どの投稿も自然体で好感の持てるものばかりで、ご本人のアカウントをうまく活用できたらツイストの効いたコミュニケーションになるのでは、と思いました」と話す。
そこから生まれた企画は当初、「♯15秒ランウェイ」ではなく、ショートドラマをストーリーズで展開する「15秒連ドラ」というものだった。「インスタは急速に伸びているメディアでしたが、広告とわかると誰も見ません。そこで男女のアカウントで行き来するドラマにしたほうがのめりこみやすいと考えたんです」とADK クリエイティブディレクターの竹内史明さんは言う。
「いまはモバイル1つで完結する時代なので、コミュニケーションはSNSを使い、ラフで、手軽で、スピーディーな方が若いファンを獲得できると考えました。中途半端なことをやっても若者に振り向いてもらえないので、僕たち自身もかっこいいと感じるキャンペーンの形を考えて提案することにしたんです」と石山さん …