2018年5月に東亞合成の瞬間接着剤「アロンアルフア」は若年層に向けたWebキャンペーンをスタートした。「接着」という言葉を“人やものがくっつくこと”と広く捉え、Vコン形式で物語が展開するアニメーションを公開。その企画プレゼンについてADEX 日本経済広告社の3名に聞いた。
ターゲットを若年層に絞り込み提案
アロンアルフアを製造販売する東亞合成は、恋人や友達と"くっつきたい"という気持ちを応援する「くっつけ青春プロジェクト」をスタートした。その一環として公開した接着剤に関する小ネタを散りばめたWebムービー全3作は、ターゲットである若者を中心に「面白すぎる」「好きだから見てほしい」など反響を呼んでいる。
企画制作を担当したADEX 日本経済広告社は、2016年からアロンアルフアを担当し、バーベルを天井に接着する効果実証CMを手がけてきた。クリエイティブディレクターの木下顕志さんは「CMを1年半続けたところ、若年層のブランド認知率が伸び悩んでいることがわかりました。そこでクライアントから若者層に集中してブランディングを行い、認知率を向上してほしいという依頼があったんです」と話す。
そこで提案したのがターゲットにリーチしやすいWebメディアにおける施策だった。CMプランナーの角川知紀さんは提案する上で重視した点について、「若者はどうやったらアロンアルフアを買いたくなるのかを考えました。それまでは靴の修理に使うなどの訴求でしたが、本当に高校生が自分で買って使うのかには疑問が残ったので、全く違ったアプローチから考える必要があると思いました」と振り返る。
そしてこの段階で、"若者"を10代後半~20代前半に絞ったという。プランナーの土田悠樹さんは、その理由をこう話す。「若年層の中でも特に情報発信が盛んで、波及効果の大きいところに向けて行ったほうが効果的と考えて、スマホ所有率の上がる高校生以上に絞ることにしました」。
これらを踏まえて行った1回目のプレゼンでは"振り切る"施策を行うことの重要性をアピールしている。木下さんは「クライアントには、若年層が好感を持つブランドは、商品が身近かつコミュニケーションにも思い切りがあることをデータと実例で示しました。その中で接着剤の立ち位置も考慮して、滋賀県のPRムービーを引き合いに出しています。普通のことをやったら失敗する可能性が高いと危機感を持って説明しました。」と話す。
その結果、アロンアルフアのブランド価値と若者のインサイトが結びつくところで、"くっつきたい人"を応援するブランドになるという方針が決定。そこから"何をくっつけるか"、具体的な企画を考えていったという。
アロンアルフアは「固い絆」の代名詞
企画を考える上でヒントになったのはInstagramだった。「インスタで高校生が友達と永遠の絆を誓うときに"#アロンアルフア"を使っているのを見かけたという話をクライアントから聞いたんです …