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デジタル最前線 テクノロジーが創る新しいブランド体験

男女の視点を切り替えられるVRムービー

「男女の本音VR」オカモト

男性の視点と女性の視点を1つのムービーの中で切り替えながら楽しむことができるVRコンテンツが登場した。その名は「男女の本音VR」。その制作はどのように行われたのか。

異性の本音を理解するためのコンテンツとして制作

コンドーム国内シェアNo.1のオカモトが運営するWebサイト「LOVERS研究所」では、プロジェクト第5弾として、VRムービー「男女の本音VR」を2月に公開した。同Webサイトではこれまでも、コンドームが飛び出すウェアラブルデバイス"ゼロワンベルト"など、笑いも交えつつ、コンドームの利用を啓蒙してきた。

今回のムービーも「性行為前の"男女の本当の気持ち"がわかれば、コンドーム着用率は向上するはず」という仮説にもとづき制作されたもの。VRならではの演出を楽しみながら、男は女の本音を、女は男の本音が知れてしまうエンタメコンテンツだ。

登場人物は同じ会社に勤める男女。互いに気になる存在だった2人は恋人としてつき合うようになり、飲み会帰りに男性の家を女性が訪れたという設定だ。"初めて恋人の家を訪ねる"というシチュエーションに特有の期待と不安な気持ちが交錯する様子が描かれている。

ムービーは男女それぞれの視点を視聴者が自由に行き来できるようになっており、その行き来を通じて男女の考えの違いを体感、発見することができるようになっている。スマートフォンブラウザ、スマートフォン向けVRキット、VRデバイスの3つで視聴でき、正面を境に左側に向けると"男性視点"、右側に向けると"女性視点"に切り替わり、それぞれの本音=心の声が音声で聞こえてくる仕組みだ。

この企画の起点になったのはLOVERS研究所が男女400名に対して行った意識調査。そこでは「コンドームをいつ取り出せばいいかわからない」「着けてほしいけど言い出せなかった」といった回答が多数あがったという。

クリエイティブディレクターを務めたBIRDMAN代表の築地Roy良さんは「日本人は空気を読むのが美徳。着けてと言うと空気が壊れるといった互いの勘違いがあって、こういう悩みが出てくるんじゃないか。本当は男女が"そのとき"に考えていることがわかれば、問題は解決するはず…と考えてつくりました。だからムービーでも、結局は2人も着けたかったというオチになっています。VRにしたのは異性に憑依するというか、相手の心の中をわかる瞬間を体験できるものにしたかったからです」と話す。

「男女の本音VR」は名前の通り、コンドームに対する男女それぞれの本音を盛り込むことがポイントのため、男性の本音は本編ベースとなるストーリーも担当した監督の吉野耕平さん、女性の本音は東北新社のプランナー竹田佐和さんが分担で書き進める方法を採用した。「双方とも着けたかったというストーリーのオチに至るまでの女性の本音を制作過程で知るにつれて、僕ら男性スタッフもショックの連続でした(笑)」(築地さん)。

(左)「男女の本音VR」男性視点。
(右)「男女の本音VR」女性視点。ユーザーは男の視点と女の視点を自在に切り替えながらストーリーを楽しめる。それぞれ2カット目が「回想の小窓」シーンで、それぞれの小窓に視点を合わせることで、画面内で短いムービーが再生される。

「男女の本音VR」コンテ。

VRムービーの作り方を方法論から開発する

「男女の本音VR」のコンテは中央にタイムライン、左側に男性の心の声、右側に女性の心の声という構成で書かれている ...

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