VRなどの新しいテクノロジーが当たり前になった未来では、広告コンテンツはどのような姿をしているのか。いや、それ以前に「コンテンツ」というもの自体が大きく姿を変えているのかもしれない--。バスキュールでは、そんな次のコンテンツの姿をいち早く形にし、「データ×エンタテインメント」として世の中に送り出している。
野球中継は「視聴する」ものから「打つ」ものに進化する!?
ヘッドマウントディスプレイをつければ、そこはスタジアムのバッターボックス。センサーを組み込んだミットを持って構えると、プロのピッチャーが投げた160km超えの速球が投げ込まれてくる。バッターとして、プロの鋭く曲がる変化球も打てる。実はこの投球データ、すべてプロ野球選手の実際に投げた投球データを再現したものだ。
「僕は野球が大好きなのですが、よく試合を見ながら『あのバッターボックスに自分が入っていたなら』と想像してきました。野球ファンなら誰もが一度は考えたことがあるはずです。VRならそれが実現できる。そう考えて生まれたのが『VR Real Data Baseball』なんです」とバスキュール代表の朴正義さんは話す。
名前に「Real」と入っている通り、データのリアリティには徹底してこだわった。「よくVRで『空を飛ぶ』コンテンツがありますが、僕には空を飛ぶ体験についてのリアリティは測れません。でも、VR Real Data Baseballで実際のプロ野球選手の投球データをリアルに再現すれば、野球エリートしか体験できないあの舞台、例えば大谷翔平の本気を体験することができるんです」。
さらに、と続ける。「実は現実の超一流のプロでも大谷投手と対戦できない人がいます。それは打者としても優秀な大谷本人です。それが、このVRを使えばできてしまう」。その企画は今年の元旦に放送された『嵐にしやがれ』で、テレビ番組の企画として実現した。打者・大谷が投手・大谷に挑戦し、話題を呼んだ。VR Real Data Baseballが生んだ『夢の対決』だ。
また、「プロアスリートの強化に使いたい」という問い合わせもスポーツ関係者から寄せられている。「今はまだ野球のVRしかありませんが、他のスポーツ関係者からも『リアルなデータを活用することで選手の育成に繋がるのではないか』と注目されているようです」。
2020年に向けてもっと大きな夢もある。「見るだけではなく、『打てる野球中継』が実現する可能性があります。リアルタイムで日ハムの中田翔が空振りした球で僕はホームランを打った、なんていう夢みたいな日がやってくるかもしれません(笑)」。
印刷・音声・映像という入出力源の発展と共にコンテンツも発展してきたが、3D座標データという新たなソースを活用することで、『体験できるエンターテインメント』がつくれる。私たちの身の回りにあるあらゆるデータを入力ソースに、新たな体験価値へと昇華するクリエイティブ、それを「データテインメント」と名づけた。「VR Real Data Baseball」はそのシンボルだ。
星が見えない都会でも流星データで「流星に願掛け」
データテインメントが体験化するのは、スポーツのデータだけではない。自然界のデータを使った例もある。昨年11月から今年1月まで、日本橋 福徳の森で行われたイルミネーション・アート・プロジェクト「NIHONBASHI 願いの森」は「流星データ」を使ったデータテインメントだ。リアルタイム流星観測システム「Meteor Broadcaster」で日本上空の流れ星を即時に検出し…