「らしさ」と「らしくない」の間
デザイナーとして働き始めた当初の2005年頃、コンビニでとある商品を探していたとき、目に飛び込んできたのがチョコレート菓子の「ブラックサンダー」でした。手の平に乗るくらいの小さなパッケージで、黒を基調にしたカラーリング。柄のモチーフは、その名のとおり「稲妻(サンダー)」。
Rez©Sega 2001
「趣味は何ですか?」と聞かれたら、迷わず「ゲーム」と答えるほどのゲーム好き。中でもセガのゲームが大好きで、ドリームキャストのソフトはほぼすべてやり尽しました。大学時代は家でゲームをしたり、趣味でパソコンをつくったりしながら、夜はクラブに遊びに行くという生活。美大でプロダクトデザインを専攻していたのですが、確固たる動機もなく入ってしまったこともあり、デザインや表現に対する関心はほとんどありませんでした。当時、僕の関心ごとのすべての基準はゲーム。ゲームを通じて、人やモノを知ることも多かったです。
あらゆるゲームを体験していた僕が、衝撃を受けたのが「Rez」。いわゆるシューティングゲームですがカテゴライズしにくく、「Rez」は「Rez」でしかありえない、そんな独自性があります。「Rez」の登場によって、それ以降、僕のゲームに対する価値観は大きく変わりました。
ワイヤーフレームで構成された電脳空間を流れるミニマルでグラフィカルな映像、そのままクラブで流しても良さそうなサウンド、その操作性の良さはこれまでの他のゲームとは明らかに違いました。特に衝撃を受けたのは、当時はゲームをやる人=オタクという印象でしたが、そのゲームを操作していたプレイヤーの姿がとてもかっこよく見えたこと。そう思ったのは ...