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デザインの見方

花の香りが感じられる「花」という文字

柿木原政広

『青春図會 河野鷹思初期作品集』( 河野鷹思デザイン資料室、2000)
01 福田勝治写真集『花と裸婦と』(イヴニングスター社、1947)
02 松竹キネマ『平手造酒』雑誌広告(1930年9月掲載)

今から28年ほど前。デザイナーとして働き始めた当初のこと。タイポグラフィをベースにデザインする機会が多く、あらためて書体の勉強をしました。当時はまだ写植で版下をつくるのが一般的でしたが、Macが普及し始めた時期でもあり、自分の手書き文字をスキャンして図形化したものを調整したり、既存の書体をアレンジしたりと、“文字いじり”をしていました。しかしその後、有名な書体が誕生した時代背景や形の特徴、その理由など、書体に関する知識を学べば学ぶほど、文字いじりができなくなってしまいました。

たとえば、自分で文字をつくっていると、造形的に「こことここを繋げたい」と思うことがあります。しかし、書き順によって生まれる形もあるため、それを無視してデザインしたら「書体のことをわかっていない」と笑われるかもしれない。そう思うと手が止まってしまったんです。

そんな頃、グラフィックデザイナーの河野鷹思さんが手がけた装丁やポスターのロゴを見る機会があり、それらがあまりにも自由で驚きました。河野さんの作品は、おそらく本か雑誌に掲載されていたものを見たのだと思います。

特に目を引いたのは、文字を形として捉え直していたことです。単に美しいというだけではなく、絵のようにも見えてくる。さらに、本のタイトルやポスターの内容とロゴのデザインがさりげなくリンクしていて、そのニュア…

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