長野県の北東に位置する木島平村。今年5月に、FARMUS(ファームス)木島平がオープンした。古い食品工場を改修し、農の拠点施設として再生したこの建物の中には、食品加工工場があり、その土地で採れた野菜を加工した商品を販売している。そこで売られている、ケチャップ瓶は、まるでトマトそのもの。思わず手に取ってしまうこのパッケージをデザインしたのはONEのデザイナー/アートディレクター・富田光浩さんだ。
コミュニケーションが生まれるツール
昔から米どころとして知られ、近年はおいしい野菜の産地として注目を集めている木島平村。雄大な山並みと水田を背景に、FARMUS木島平はぽっかりと建っている。FARMUSとはFARM(農場)とUS(わたしたち)を掛け合わせた造語。旬の食材を提供する直売所、農産物に更なる付加価値をつける加工所、そして木島平村の食を発信するレストラン…。これらに「道の駅」の機能を加えた6次産業化の新しい拠点である。観光拠点であると同時に、村民の日常生活を向上させ、自己実現の舞台となることも目的としている。
現在、全国の村々は、農家の高齢化や人口減少、輸入農作物の増加などの問題があり、厳しい状況に置かれている。村と都市が力を合わせ、新しい価値を創造するためのモデルケース作りに同施設は挑戦している。
富田光浩さんはFARMUS木島平の商品パッケージ、エコバッグ、サイン計画などをディレクションしている。同施設のビジュアルシンボルは1本の稲の苗(02の一番左上)。これをモチーフにこれからスクスクと育つ同施設の姿を表している。稲の苗の絵はルクセンブルクの画家アラン・ジョンストンさんが …