今年4月に日清食品から発売になった「カレーメシ」はCMが公開されるやいなや、ネットで一気に拡散。その衝撃度の高い表現は、話題を集めた。意外なことに、このキャンペーンを企画したのは、佐藤可士和さんである。ただ単に「面白い広告」をつくったわけではなく、そこには綿密に計算された戦略があった。いまの時代に確実に生活者に届くコミュニケーションを続けている佐藤さんが考えるこれからの時代の広告、そしてクリエイターのあり方とは。
面白くつくるそれだけが広告ではない
ーー4月に発売した日清食品のカレーメシのCMがSNSを中心に拡散しましたね。
「カレーメシ」のローンチにあたっては、ネーミングとパッケージデザインからマーケティング戦略まで全てを手がけました。テレビCM、YouTubeやSNS、発表会やサンプリングといったイベント、バイラルムービーを展開し、ある意味、今の時代の広告のど真ん中を行くコミュニケーションです。狙い通り、一気にバズが起こり、「すさまじい衝撃を残す日清CMが話題」とヤフートピックスにも掲載されたり、非常に話題になりました。
なぜそうなったのかといえば、そこにははっきりとした戦略があったからです。わけの分からないCMが流れたり、ゆるキャラが出てきたり、見た目にはあまりそう感じないかもしれないけれど、コミュニケーションはかなり詳細に設計しています。もうひとつの勝因は、表現を振り切れるところまで振り切ったこと。そこがふつうのキャンペーンで終わらなかったところだと思います。
実はこれ、既存商品のリニューアルです。難しかったことはカレーライスのようでありながら、カレーライスとは違うものだということをどのように伝えるかという点。カップヌードルがラーメンと違うポジションを築いたように、カレーメシもカレーライスとは違うポジションを築く必要がある。若者をターゲットに従来のカレーライスとは違う新しいものであると感じさせるコミュニケーションをしたいというオリエンにストレートに応え、考えたコンセプトが「理解不能な新しさ」でした。実際には緻密にマーケティング戦略を立てていますが、方法論はゲリラマーケティングです。
とにかく最初のローンチにインパクトがないとだめだと思い ...