震災復興支援をはじめ、多彩な活動をする箭内道彦さん。でも、その本拠地はやはり広告にあるという。
広告のど真ん中に行く
広告界の皆さんからは、「広告やめたの?」と聞かれたり、「広告の枠を出ている」と言われたりもしますが、僕の中では、CMをつくることも、テレビでインタビューをすることも、故郷を歌うことも、全部広告です。人に思いを伝えたり、誰かを応援したりすることは、すべて広告なのだと思います。生意気な言い方をすると、広告という名前がついていても広告でないものが世の中にたくさんあると思っています。
最近、特に思うのは、「広告で人を幸せにしたい」ということ。僕にとっては、そこが広告の真ん中です。考えてみれば、現在ほど広告をする企業の姿勢が問われる時代はなかったかも知れません。あなたの会社がつくる商品は世の中をどうしたいのか――。その思いやメッセージが広告とひとつになっていないと、生活者に受け入れられない。広告を見てその商品を手にした人を幸せにする、人生がよくなるきっかけを広告が提供する、それがいまの広告に求められているひとつの大きな役割ではないかと思います。