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デザインの見方

強烈なビジュアルの奥に潜むメッセージ

手島 領(螢光TOKYO)

ベネトン・ジャパン「兵士の服」
◯AD+撮影/オリヴィエーロ・トスカーニ
◯D/サルヴァトーレ・グレゴリエッティ

白い背景の上に置かれた、血に染まった軍服。おもわず目をそらしたくなる強烈なビジュアルは、旧ユーゴスラヴィアの内戦で戦死した兵士の遺品です。これはイタリアのアートディレクター・写真家のオリヴィエーロ・トスカーニが94年に手がけたベネトンのグラフィック広告で、日本を含む世界50ヵ国の主要な新聞に出稿され、話題を集めました。

「兵士の服」を含むベネトンの一連の広告シリーズは、その強烈なビジュアルで目が釘付けになります。色とりどりのコンドーム、白人の赤ん坊に授乳している黒人女性、生まれたばかりの血まみれの胎児、死に瀕したエイズ患者など…どれも挑発的でセンセーショナル。出稿拒否した媒体があるほど世界中で論争を起こしました。

「兵士の服」を初めて見たのは博報堂に入社した2年目のころ、それまで学んできたデザインや広告の概念を壊されるほどのショックを覚えました。これは広告なのか?と。しかもそれが洋服を扱うアパレルブランドからの出稿であることに驚きを隠せませんでした。

多くの人がこのグロテスクなビジュアルを見て ...

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