マーケティングの打ち手が多様化する中、コミュニケーションのプロフェッショナルである広告業界に求められる役割もより、経営の川上の領域へと移り変わりつつある。博報堂DYグループは、こうした状況をどのように見つめ、どのようなビジネス構想を描いているのか。博報堂DYホールディングス代表取締役社長 水島正幸氏に話を聞いた。
増加する事業寄りの相談 コンサルとの違いをどう定義?
博報堂DYホールディングスでは、2024年度からスタートする中期経営計画において、「広告会社グループ」から「クリエイティビティ・プラットフォーム」への変革を強く打ちだしていく方針です。その結果として、生活者を起点としたクリエイティビティを強みとして生かしながら、生活者や企業、社会をつなぎ、新たな価値を創造していきたい。
こうした戦略を打ち出す背景には、広告を通してマーケティングやコミュニケーションを展開するクライアント企業の変化があります。
例えば、コロナ禍をきっかけにデジタル化が一気に進み、人々の働き方は大きく変わりました。それに伴って人材が流動化し、どの業界でも人手不足が深刻なことから、人材獲得のために広告を利用するBtoB企業が格段に増えています。また昨今、注目される生成AIなどのテクノロジーを活用し、既存ビジネスの効率化を進めたり、新たな成長事業をつくろうとする企業も多く、クライアント...
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