2024年、月刊『宣伝会議』と同じく70歳を迎えられた落語家・立川志の輔氏。広告会社に勤めたこともあり、『宣伝会議』と同じ70年を歩んできた同氏に、広告やメディアの変遷、CMに対する想いを聞いた。
─広告会社にお勤めのご経験もある立川志の輔さん。広告をどのような存在とお考えでしょうか。
CMは“15秒の芸術”だと思っています。宣伝とは本来なら、商品名を連呼したり、ことさらに大きく書いたりすればいいだけのこと。「この商品はとっても良いですよ」と褒めそやし、お客さんを良い意味で洗脳するのが宣伝ですから。だけど、それじゃあ芸がないだろうと、宣伝という文化が始まったわけですよね。あっという間に過ぎる15秒をいかに凝視させ、ハッとさせるか。その手練手管が宣伝の歴史だと思います。
「これを買ってください」という匂いが強ければ強いほど、警戒したり不愉快に感じたりするのが日本人の国民性です。そのおかげで素晴らしいCMが生まれてきました。「このドリンクを飲むと、こんな爽やかな風景が見えてきますよ」という錯覚を見せてくれたり。冷たい飲み物のCMにペンギンが出てくると、なぜか「涼しくなる飲み物なんだろうな」と錯覚しますよね。
あるとき聞いたのは、戦時中は特攻隊の零戦などが飛んでいる絵が...
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