続く新聞界の苦境日刊紙、225万部以上減少
新聞界の苦境は続いている。日本新聞協会がこのほどまとめた調査によると、日本新聞協会加盟の日刊110紙の総発行部数は2023年10月時点で、2859万486部だった。前年比(以下同)7.3%減で減少幅は過去最大。部数で見ると225万6145部落ち込んだ。1世帯当たりの部数を算出すると0.04部減の0.49部。人口1000人あたりの部数は、28部減の270部となった。こうした厳しい状況の中、新聞各社は新たな事業への挑戦を続けている。本社の跡地を活用して複合施設を建設する取り組みや、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)に関する活動、新たなデジタル媒体の開設などの動きを紹介する。
旧本社跡地に複合施設 本社機能を分散する取り組みも
群馬県の上毛新聞社は2023年11月1日、JR新前橋駅前にオフィスや居住スペースなどで構成する複合施設「JOMOスクエア」を建設すると発表した。旧本社や旧印刷工場があった敷地を活用。芸術展の開催や動画スタジオでの情報発信を通じ、地域のにぎわいづくりにつなげる。2025年5月の完成を目指している。
起業者向けの小規模オフィスなどで構成する9階建ての業務棟、15階建ての住宅棟、6階建ての駐車場棟で構成する。業務棟の1階は地域住民に開放する。併設予定の動画スタジオは、テナント入居者に利用してもらう。上毛新聞社が展開する動画制作事業でスタジオを利用することも想定しているという。また、大規模災害が発生時には業務棟の1階で帰宅困難者を受け入れることを検討している。香川県の四国新聞社はこのほど、高松市内の本社から約700メートル離れた別のビルに編集局や広告局などを移した。