日本広告審査機構(JARO)には2022年度(2022年4月~23年3月)9千件を超える広告・表示への「苦情」が消費者から寄せられています。また、そのうち、審議が必要と判断されたものについては、委員会で審査し広告主に対して26件の「見解」を出しています。これら、2022年度の審査状況を基に、「消費者にとって不適切な広告」についての特徴やトレンドを事務局長の川名 周氏が解説します。
苦情数は2年連続で減少傾向 22年度の苦情1位は「医薬部外品」
2022年度に受けた「苦情」の数は9,206件で、前年度比89.2%と1割余り減少しました。コロナ禍に入った2020年度は11,560件であったので、2年連続での減少を経て、コロナ前の2019年度の水準に戻った状態ですが、依然として高い水準を保っています。
業種別では、1位「医薬部外品」2位「化粧品」3位「健康食品」となりました。1位の「医薬部外品」では、医薬品並みの発毛効果の訴求やシミが剥がれるという誇大な表現などに苦情が集まっています。2位の「化粧品」では、毛穴等の画像が不快といった声が依然として寄せられているのと、定期購入への苦情も目立っています。3位の「健康食品」は2017年度より2020年度まで急増しましたが、その後、行政・業界団体・ネット媒体社等の種々の取り組みも功を奏し、2021、22年度では減少へ転じました。
不適切な特徴トレンド①
わかりにくい価格表示
「サービス提供後の価格がネット上に出ていた価格と異なる」、「総額がわからないまま定期購入になってしまった」などに代表される傾向です。定期購入に関しての苦情は、2022年度(JAROとして定期購入と認知した件数)は293件と前年度の259件から増加しています。広告主に対する「見解」より代表的ケースを見ていきましょう。
〈害虫駆除サービス〉
検索サイトで抽出されたWebサイトに「追加料金一切不要」「30日間は再発防止保証」とあったため依頼したところ、Webサイトには記載されていない「基本料金」「燻煙材」「殺虫系再発防止忌避剤」などを請求された。さらに、1週間後に害虫が再度発生した際も「保証なし」で契約していると言われ、保証を受けることができなかった。
→景品表示法に違反するおそれがあることを指摘しました。
〈医薬部外品〉
インフルエンサーが効果があると言っていたので、「回数しばりはなく、いつでも解約可能な定期コース」というフェイシャルパックを購入...