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宣伝会議賞

世界の見方を変える そんな言葉の発明を

上坂あゆ美氏、木下龍也氏

宣伝会議「コピーライター養成講座」に通った後、歌人となった木下龍也さんと、広告会社で戦略プランナーをしながら第一歌集『老人ホームで死ぬほどモテたい』(書肆侃侃房)を出版された上坂あゆ美さん。ことばの世界で活躍する歌人の2人が「コピーの魅力」を解説します。

歌にすることで「見えていなかったもの」が見える

上坂:私は木下さんの短歌が好きで、出版記念イベントに一度うかがったこともありまして。木下さんの短歌は色んな人に広く刺さる、キャッチコピー的なところが魅力だな、と以前から思っていました。

木下:すみません。イベント時の記憶がなくて、上坂さんとお会いするのは今日が初めてだと思っていました…(笑)。僕も上坂さんの第一歌集を拝読しました。お互いに切り口は違うんですが、「いいなぁ。」と思う歌がたくさんありましたね。

上坂:ありがとうございます。今回のトークではまず、お互いの「好きな短歌」を、ということで紹介していきたいと思います。まずは木下さんの選んだ一首を。

木下:はい、僕が選んだのはこちら短歌です。

ざる蕎麦のすだれの隙間に挟まった
蕎麦を抜き出すことができない
平安まだら

これは、ざるそばの「かけら」の話です。蕎麦を食べた後に、底に敷いてあるすだれの隙間にちょっと残っているかけらのこと。あれって「見えてはいるけれど、見てはいないもの」だと思うんですね。だから、蕎麦屋を出たときにはすっかりその存在を忘れてしまっている。でも、この歌を読むと、これまでに見てきたいくつもの蕎麦のかけらが、記憶のなかに灯され、また見えるようになる。まるで、ふりかえった夜道で、手前から順に街灯が灯り、まっすぐな道筋が見えてくるような快感があるんです。人の頭の中に侵入できる力を持った歌だと思います。

上坂:たしかにそうですね。良い短歌とは何か?という議論の際に、「読む前と後で、ものの見方を変えてしまう歌」と...

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