特定の番組を指定して放映するタイムCMと、曜日や時間帯を指定するスポットCM。そのどちらでもない、15秒1本単位から、好きな枠を購入できる「スマート・アド・セールス(SAS)」という新しい販売方法が広がりをみせている。テレビ広告の指標や取引方法の現況と今後について、メディアコンサルタントの境治氏が解説する。
広告価値は本来、コンテンツに紐づくもの
スマート・アド・セールス(SAS)とは、通常はGRPでまとめ買いするスポットCM枠をバラで売る新しい売り方で、ここ数年注目を集めている。
すでに在京キー局は全局採用し、関西地区、中京地区、札幌と北部九州地区へも広がりつつある。2021年度で20億円を超える市場規模に達するとの噂だ。もっともテレビCM全体からすると微々たる数字ではある。だが今後まだまだ伸びるのは間違いない。この稿ではそれがどこまで伸びるかより、SASを通じてテレビCMの今後について書いてみたい。
考えてみれば、そもそもスポットは不思議な買い方の商品だった。どの枠にCMが入るかを指定できないのだ。ただ、大量のCM枠を次から次に売買するには便利だっただろう。目標のGRP分のバイイングをこなすにはうってつけだった。ただこれは、高度成長時代にほとんどの家庭が揃って...
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