学校法人先端教育機構 社会情報大学院大学では2月15日、内閣官房IT総合戦略室室長代理(副政府CIO)の二宮清治氏を講師に迎え「政府のIT戦略について」の講演会を開催。日本のデータ利活用戦略はどのような体制で行われ、何を目指しているのか。講演会の内容をレポートします。
POINT
POINT 1 ▶ 国全体のデータ連携、サービス融合から日本型『デジタル・ガバメント』実現へ。
POINT 2 ▶ 今後はリアルなデータ分析から新しいサービスモデルをつくる利活用が重要に。
POINT 3 ▶ 政府・民間の旧来システムの改革・刷新やインフラの整備なども進む。
府省を横断したデータ利活用 IT総合戦略室の役割
IT総合戦略室は、2000年に内閣官房内に設置された。正式名称は内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室。その役割は「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)の事務局の役割を果たすとともに、IT活用による国民の利便性の向上及び行政運営の改善に係る総合調整等」になる。
具体的な役割は①府省横断的な司令塔の機能で横串を通す②政府のみならず、地方、民間を含む国全体のIT戦略の策定③民間視点での改革の推進だ。
IT総合戦略室のトップである政府CIOは2013年に法的にその役割を位置づけられ、IT戦略本部の本部長である内閣総理大臣からの委任を受けて各府省の横断的な計画やIT予算の重点方針を策定し、各府省と改善点等を調整する。その際に強い指導力を発揮するため、政府内では各府省の事務のトップである事務次官よりも高い地位を与えられている。
例えば、政府CIOの下で行われている政府情報システム改革では、これまでに政府全体でシステム数約6割・運用コスト約3割の削減見込みが立つなどの成果が見られる。
政府のIT戦略の変遷と現在の基盤となる、基本法
2001年に高度情報通信ネットワーク社会を形成することを目的とする「e-Japan戦略」が始まって以降、政府のIT戦略は時代に合わせ、数年おきに戦略を変えてきている …