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REPORT

進む、マーケティングのパーソナライゼーション 世界のマーケターたちが、見据える理想の未来とは?

Marketing Nation Summit2018

マーケティングソフトウェアとソリューションを提供するMarketoは2018年4月29日から5月2日の期間、米・サンフランシスコにて「Marketing Nation Summit2018」を開催した。編集部は招待を受け現地に赴き、本イベントを取材。世界各国から約6000名のマーケターが集まった本イベントの様子をレポートする。

キーノートに登壇した、Marketo CEOのSteve Lucas氏

会場内、そして会場周辺も「THE FEARLESS MARKETER」のテーマ一色に包まれた(写真①/②)

世界各国から約6000名 マーケターが集う

マーケティングソフトウェアとソリューションを提供するMarketoは2018年4月29日から5月2日の期間、米・サンフランシスコにて「Marketing Nation Summit2018」を開催した。本イベントは、世界からMarketoユーザーやパートナー企業が参加するイベントで、今年は会期中6000名を超える参加があったという。

ちなみに今回のサミットのテーマは「THE FEARLESS MARKETER」。「FEARLESS(恐れを抱かない、大胆な)」というテーマに基づき、世界各国のマーケターたちのチャレンジが紹介され、また表彰された。現地時間30日には「Be Brave. Be Fast. Be Bold」のテーマのもと、キーノートが開催となり、Marketo CEOであるSteve Lucas氏らが登場した。Steve Lucas氏からもキーノート内で本イベントに参加している"FEARLESS"なマーケターたちのチャレンジが紹介された。

さらに同氏は「昨年の『Marketing Nation Summit』では、"ENGAGEMENT ECONOMY"の概念について説明した。人と人がつながりあっている今の時代、ブランドはカスタマーによって定義され、もはやマーケターがコントロールできるものではなくなっている。この環境では、従来の量が重視されてきたマスマーケット時代から変化し、価値やつながりがより大事になっている」とエンゲージメントマーケティングソリューションを標榜する同社の考えを語った。

そして、エンゲージメントを重視せざるを得ない環境は加速度的に増している、とも。

同氏は「人々は主にモバイルなどを通じて、APIを介して世界中の人々とつながっている。世界の人口の約半数が、この"ENGAGEMENT GRID"に参加している状況では、カスタマーに対して、あらゆる接点で常に話しかけることが大切となる。セールス担当がコンタクトをとる際には、すでにカスタマーの意思は決まっている。あらゆる接点を通じて、カスタマーに語りかけ、エンゲージメントを深める。カスタマーの体験をキュレーションするような役割がマーケターに求められている」と続けた。

またSteve Lucas氏からは、マーケターを対象にしたアンケートの結果を紹介。そこではアナリティクス領域の技術への投資の増加、投資するテクノロジーの数の増加、マーケターの役割がカスタマーの体験全体のオーガナイゼーションへと広がっていることなどが示された(写真③)。これらのデータから、顧客とエンゲージメントを深めるためにパーソナライズしたマーケティングが求められており、そこではテクノロジーの活用が欠かせない様子が見えてきた。

同氏からは、こうしたマーケターのニーズに応えるべく、この1年の間に同社が取り組んだ5つの技術革新、その領域についても発表があった(写真④)。その革新とは、(1)エンゲージメント強化を支援するプラットフォームの機能拡充、(2)セールスとマーケティングの連携、(3)AI、(4)アナリティクス、(5)Marketoユーザーに対するUX向上の5つだ。また当日は、(2)に関連してアトリビューション分析の技術を持つBizible社の買収も発表された。

Steve Lucas氏のキーノートでは、マーケターを取り巻く環境の変化(写真③)や、その変化に対応すべくMarketoが取り組んでいるイノベーション(写真④)について発表があった。

Marketoでは2017年8月にGoogle Cloudとの提携を発表しているが、キーノートにはGoogle CloudのCEOであるDiane Greene氏も登壇した。

マーケティング活動の効果を可視化 セールスへの貢献を明確にする

編集部では、キーノートでも触れられたソリューションの技術革新について、Marketo Chief Product OfficerのManoj Goyal氏に会場内で個別取材も行っている。同氏は現在のプロダクト開発の注力領域は3点あると説明した。ひとつはマーケターに対して、ボリュームの価値を提供すること。

マーケターの必要に応じて変化対応が可能な柔軟性、バイヤーが興味を示したタイミングでリアルタイムに反応ができるスピード感だけでなく、そうしたプラットフォームだからこそ実現できる一人ひとりのバイヤーに対してパーソナライズしたコミュニケーションを、規模感をもって実行できる環境を整えることを目指してきたという。

2つめがMarketoユーザーを対象にしたUXの向上である。技術的な知識を豊富に持っていないマーケターであっても、より使いやすいシンプルなUXを目指した改善を進めているという。ちなみにUXの改善については、Summit内のプロダクトキーノートでも発表されている。新しいインターフェースの名称は「Marketo SKY」(写真⑤)だ。


3つ目がマーケティングとセールスのより強固な連携を実現する機能の拡充だ。昨年、MarketoはセールスエンゲージメントプラットフォームのToutAppを買収しているが、Manoj Goyal氏はマーケティングとセールスの強い連携があってマーケターの貢献が評価をされ、またその評価があるからこそ、マーケティング活動の精度もより高めていくことができるという同社の考えを示した。

そこで今回のSummitでは新たに「Marketo Sales Engagement」が発表された。これまでマーケターの活動はターゲットとなる顧客のプロファイリング、その潜在顧客に対するコミュニケーションを通じた育成、セールス部門に対する見込み顧客の情報提供にとどまっており、セールス部門からのフィードバックのデータがMarketoのプラットフォームに統合されてはいなかった。

しかし、セールス部門も「Marketo Sales Engagement」を介して、マーケターとコミュニケーションをとることにより、マーケティング活動の貢献が可視化され、より成果につながるマーケティング活動の企画・実行を支援することができるという。

マーケティングとセールスの連携を支援する機能としては今回、「Marketo Paformance Insights」も発表された。この機能により、マーケターは自分たちの活動がどれだけのパイプラインをつくったのかを可視化して、より簡単にセールス部門や財務部門、経営層にプレゼンテーションすることができるようになるという。

今回のSummitではアトリビューション分析の技術を持つBizible社の買収も発表されたが、マーケティング活動の効果を可視化する動きも、セールスとの連携を深める手段のひとつと言えるだろう …

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