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スポーツに関わる広告商品のマーケットプレイス構築を目指す─パナソニックが描く新たな構想

パナソニック システムソリューションズ ジャパン

アメリカのスポーツ市場の規模は49.8兆円。一方で日本は5.5兆円規模と試算されている。日本におけるスポーツ市場のさらなる活性化を目指し、いまユニークなプレーヤーが新しい構想を具体化しようとしている。

パナソニック スタジアム 吹田では248枚のディスプレイを用いたサイネージを設置している。この場を使い、実証実験を行ってきた。

欧米に比べ遅れをとる日本のスポーツ市場

2020年の東京五輪に向け、注目のマーケットであるスポーツ。しかし欧米に比べると、各種競技自体のマーケティング活動においても、また企業のスポーツ活用マーケティングにおいても、総じて日本は、まだ成熟の途上にあると言える。

こうした状況に風穴を開けようと、BtoB業界から新たなプレーヤーが参入しようとしている。そのプレーヤーとは、デジタルサイネージを始め、スポーツスタジアム内のハードウェア他、その運用に関わるソリューションを提供するパナソニック システムソリューションズ ジャパンだ。

同社、システムプロダクツセンター エンターテインメントシステム部 2020プロジェクト、課長の中山正智氏は「国別のスポーツ市場を比較すると、49.8兆円の規模を誇るアメリカに比べ、日本は5.5兆円にすぎない」と指摘する。

日本政府は2025年までに諸外国並みのGDP比にして3%(現状は1%)、15兆円規模までの成長目標を掲げるが、そこで期待を寄せられる市場のひとつがスタジアム・アリーナ建築。しかしデジタルサイネージをはじめとしたハードウェアやソリューションを提案してきた中山氏らは「多額の投資が必要なだけに、その場を使った広告ビジネスによる収益化が必要にも関わらず、その方法が分からずに二の足を踏んでしまう状況があることに課題を感じていた」と話す。

テクノロジーも活用しマネタイズを支援する

「アメリカの場合には、ひとつのスタジアムの年間の広告収入が1億から10億円規模に達するが、これはスタジアムという場を使った広告商品の設計やセールスについて習熟した人材がいることも大きい」と中山氏。日本の場合には、その領域を担う人材が圧倒的に不足していることが、市場の成長を阻んでいる。それであればサイネージを導入した後の支援を行う体制まで広げたビジネスを展開したらどうか。そこで生まれたのが「スポーツ・スポンサード・マーケットプレイス」という構想だ。

「スポーツ・スポンサード・マーケットプレイス」はクラウド上に全国の各スポーツスタジアムの広告枠の他、チームに関わるライセンスなどの商品を登録し、広告主が購入できる場をつくろうという構想。「スポーツに関わる広告取引の運用を自動化することでスポーツチームやスタジアムオーナーにも、また広告主にとっても価値を提供できると考えた」と中山氏は話す。

この取り組みには、アドネットワークに関わるテクノロジー開発などを担う役割で、デジタルを軸にマーケティング事業を展開するオプトも参画している。

「試合や選手などスポーツには魅力的なコンテンツが多くあるが、そのコンテンツのマネタイズは十分に実現できていない状況にある。出稿するクライアント側も具体的な活用イメージが持てておらず、活用しきれていないと考えてきた。デジタル広告の世界では、"枠から人へ"という流れがあるが、『スポーツ・スポンサード・マーケットプレイス』が実現し、国内のあらゆるスポーツに関わる広告商品がネットワーク化されれば、リーチしたいターゲットを登録するだけで、適切な広告メニューを知ることができる環境をつくることができると考えている」とオプト ソーシャルAD戦略2部部長兼 ビジネスデベロップメント部の竹内大氏は語る。

リーチ規模に留まらないスポーツの価値を可視化する

パナソニック システムソリューションズ ジャパンとオプトは、構想を具体化する第一歩として、2016年10月よりパナソニックがオフィシャルパートナーを務めるガンバ大阪との実証実験プロジェクトを行ってきた。

具体的にはパナソニック スタジアム吹田内に設置した248枚のディスプレイを用いたサイネージに、ライブ映像、選手情報などのガンバ大阪のコンテンツを活用した映像を表示。観戦するファンの熱狂を盛り上げると同時に、その場やコンテンツと連動した広告クリエイティブを流し、その広告の効果を測定・検証するという取り組みだ。試合に連動したサイネージの導入で、メディア価値を向上させ、リーチ数以外の広告価値、新たな指標を創出することを狙いとしている。

「広告主の協力を得て、実証実験を行ってきた。入場から退場までの長い滞在時間中に繰り返し流されるため、試合後の認知率は43.6%。また注視時間も駅のサイネージの1.6倍という結果が出た」(中山氏)という。

しかしリーチの規模を最大のセールスポイントにしてしまうと、スタジアムという非日常空間での接触、チームとファンの絆といった、スポーツならではの価値を十分に伝えることができない。中山氏らの今後のテーマは「ターゲティングメディアとしてのスタジアムやスポーツコンテンツの価値をいかに伝えるか」だという。

さらにセールス方法の他、この場の魅力を最大化する、クリエイティブのプランニングにも、まだまだ進化の余地はある。2社はまずは、ガンバ大阪との取り組みを軸に知見を重ねつつ、最終的には日本のスポーツ振興につながるような、マーケットプレイスの構築を今後も目指していく考えだという。

「熱狂的なファンが集まるスタジアムという場を活用した広告商品はサイネージだけに留まらない。パナソニック スタジアム 吹田では、例えばタッチ&トライの展示ブースやイベントの場の企画も進んでいる」(中山氏)。

まずはパナソニック スタジアム 吹田のサイネージから始まった取り組みだが、中山氏らが見据える未来は、まだまだ広がっていく。

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