みずほフィナンシャルグループ 常務執行役員 デジタルイノベーション担当役員、みずほ銀行 常務執行役員 デジタルイノベーション部担当役員の山田大介氏は兼務の形で今年6月、金融領域の新たな事業を創造することを目的とした新会社Blue Labの代表取締役社長に就任。「金融業界も非競争領域では協働が必要」と話す山田氏に、その未来構想を聞きます。
競争から協業・協働へ 金融にもオープンイノベーション
今年6月、みずほ銀行は米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルであるWilなどと共に、新たな事業創造を目的として新会社「Blue Lab」を設立しました。みずほ銀行の出資比率は持分法の適用外となる15%未満にとどめ、過半をWiLが出資。その他、伊藤忠商事、損害保険ジャパン日本興亜、第一生命保険、農林中央金庫、丸紅、三井住友信託銀行が出資しています。
Blue Labはみずほ銀行が持つアセットの他、各株主の事業領域における先進技術も活用した事業創出を狙いとするインキュベーター企業であり、金融関連に限定せず、あらゆる産業・業種に視野を広げ、テクノロジーを活用した次世代のビジネスモデルの創造を目指しています。
具体的には現在、決済プラットフォーム構築、人工知能やビッグデータを活用した事務作業自動化のためのソフトウェア開発、サプライチェーンマネジメントやトレードファイナンスにおける業務効率化を目的としたブロックチェーンの商用化などのアイデアの事業化に取り組んでいます。
新しい事業モデルは他の銀行にも提案したい
私は、みずほの常務執行役員、デジタルイノベーション担当役員と兼務する形でBlue Labの代表取締役社長に就任しましたが、Blue Labのスタッフ構成は、当社のデジタルイノベーション部の部員だけではありません。
Blue Labのオフィスにはデジタルイノベーション部の部員が兼務してきている他、株主企業のスタッフ、Wilとネットワークのあるスタートアップ企業、その他、この取り組みに興味を持たれた金融機関や当社のお取引先のお客さまからも希望があれば、社員の方の出向を受け入れています。
他行との協業・協働にも柔軟に対応する「オープンイノベーション」、参加の間口を広げ、かつすべての参加者の利益に共通する座組みをつくる「プラットフォーム」構想、2020年を目途に新たな1000億円の付加価値創造を目指す「ビジネス化オリエンテッド」など、Blue Labには設立時に掲げたコンセプトがあります。
私は今の時代、金融機関はこれまでのように、すべての面で競争をしている時代ではないと考えています。例えば、市場における差別化要素になりづらい行内の事務作業やインフラ構築などは協働して、互いにコスト削減のメリットを享受したほうがいい。
金融機関向けの新しいソリューションを開発したとして、まずは株主であるみずほ銀行に提案すると思いますが、そこで導入されなければ私たちは他の銀行に提案に行くことができます。金融業界内において、非競争領域の協働を促進する上でも、みずほ銀行から飛び出したBlue Labの役割があると考えています ...