次なる照準は「汎用型人工知能」 最先端の研究はマーケティングをどう進化させる?
人工知能の歴史は1956年から始まり、長い間研究が続けられ改良が進んできた。
人工知能、広告界と予測。
企業のマーケティング領域において、人工知能はどんな活用がされているのか。IBMがコグニティブシステムと称する「IBM Watson」のアプリケーション事例をもとに紹介する。
機械学習、人工知能といった、新しい技術の活用が話題になっています。IBMも、IBM Watsonにより、さまざまな分野で、新しいビジネスや社会インフラの構築を支援しています。IBM Watsonは、人工知能ではなく、「コグニティブシステム」と呼ばれています。人工知能はその名の通り、人間のできることの模倣を目指していますが、「コグニティブシステム」は、人間の知的活動をサポートすることを目指しています。あくまで、人間が中心です。
IBMのコグニティブシステムであるIBM Watsonは、すでにゲノム解析によるガン治療の研究や、保険金支払審査業務の支援、人材マッチング、自動運転を支援する情報基盤など、多様な分野において、従来の仕組みを革新し、新しい価値を創造しています。そして、このIBM Watsonのようなコグニティブシステムを、マーケティング分野に適用することで実現される新しいマーケティングは、「コグニティブマーケティング」と呼ばれています。
コグニティブマーケティングの定義や内容については、すでに調査会社によるレポートやメディア記事、マーケティング関連イベントでの講演などで言及されていますが、要約すると、「自然言語を認識し、膨大な構造化および非構造化データを理解し、推論し、継続的に学習することができる『コグニティブシステム』をマーケティング領域に活用し、マーケティング活動をより高度化し効率化すること」だと言えます。
IT専門調査会社であるIDCが今年の4月に発行したレポート「IDC PlanScape:Cognitive Marketing-The Next Wave of Transformation in Customer Engagement」の筆者Gerry Murrayは、このコグニティブマーケティングの例として、図にあるような10種類のアプリケーション*1を挙げています。それらのアプリケーションは大まかに …