第53回のグランプリを受賞した今野和人さんに、作品応募期間で最も記憶に残る1日を振り返ってもらいました。
芸人としての人生の蓄積が活きた
前回グランプリを受賞しました、お笑い芸人の今野と申します。僕は相変わらず、ザ・フライというトリオで売れない芸人を続けております。
今回は編集部さんから応募のポイントやどのように取り組んだか書いてほしいと依頼されました。ただ、プロの方とか広告業の志望者向けに、昨年偶然グランプリを獲っただけの男が語れることは何もないので、僕のような門外漢を対象に役立つと思えることを書きます。
まずオススメしたいのは、あきらめることです。プロのコピーライターの方も参加するので、勝率は限りなく低いです。一次審査を通過することでさえ、困難だと思います。その理由は明確です。アマチュアはどういうキャッチフレーズやCMが優れているかを判断する基準がないので、広告としてダメなものを良いものと勘違いし、悦に浸ってしまいます。いくら時間を割いても、良いなと思うものが書けても、それは本人以外にとっては価値がない言葉に終わっているのです。僕も受賞した作品以外は全て一次審査で落ちています。思い返すと、あの頃は悦に浸っていました。
また、「こうやったらコピーを書けるようになる」「こういう勉強したら判断基準が養える」という方法は教則化されているものの、それを会得するには当然ながら時間も労力もかかります。したがって今回の宣伝会議賞で初めてキャッチフレーズを考え始めるという方が受賞することは、不可能に近いのです。
「え?キャッチフレーズって言葉遊びでしょ?勉強なんかしなくてもいけるでしょ」と思っている方がもしいたら、その時点で間違っているので、止めましょう。あなたは数年前に初めて挑戦した僕のように、図々しいだけです ...