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人工知能、広告界と予測。

次なる照準は「汎用型人工知能」 最先端の研究はマーケティングをどう進化させる?

山川 宏(ドワンゴ人工知能研究所)

人工知能の歴史は1956年から始まり、長い間研究が続けられ改良が進んできた。 ドワンゴ人工知能研究所、所長の山川宏氏によれば、私たちがいまAIと呼んでいるものは 「特化型人工知能」であることがほとんど。最先端のAI研究者たちが構築を目指している「汎用型人工知能」が 実現すれば、マーケティングにさらに大きな影響を与えると語る。

図表1 すでに汎用化が進んでいる人工知能

「AI」と「AGI」、双方の違い

ドワンゴが社内研究機関として2014年10月に設立した「ドワンゴ人工知能研究所」。所長を務める山川宏氏は、3回目となる最近の人工知能ブームの立役者となる研究者のひとり。NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブの理事も務めており、公益的な立場から人工知能の研究開発をオープンに促進するための環境整備にも尽力している。

山川氏の説明によれば、そもそも私たちが人工知能(AI)と呼んでいるものは、概して「特化型人工知能(AI)」「汎用型人工知能(AGI)」の2つに分けられるという。前者の典型は、コンピュータ囲碁や将棋、グーグルの自動運転車など、ある一定の分野に特化して能力を発揮するもの。後者は、人間のように経験を通じた学習によりさまざまな知識を実行できるようなものを指す。山川氏たちが目指しているのは、まさにこの「汎用型人工知能」の構築だ。

「汎用人工知能という言葉から、しばしば最初からあらゆる問題に対応できる万能な知能を想像されがちですが、現実的に実現しうる汎用知能は、人間同様に幅広い問題領域に対して特化した知能を柔軟に習得できる能力をもつ知能と言えるでしょう。『言語理解』『物体認識』『意思決定』『運動制御』など、これまで個別の技術として発展してきたAI技術を、全体として一つの人間の脳と同様に機能するようなレベルへと完成させていくプロジェクトを、全脳アーキテクチャ・イニシアティブでは推進しています」。

全脳アーキテクチャ・イニシアティブにおける研究開発では、現状の神経科学で理解しうる人間の脳の構造を参考にして、(1)脳の各器官を機械学習モジュール(部品)として開発すること、(2)それら複数の機械学習モジュールを脳型の認知アーキテクチャ上で統合することで、人間の脳と同じレベルの機能を持つ知能機械へと構築することを目指している。

「脳には、視覚、聴覚、運動、判断、言語などさまざまな機能を学習することで分担して司る『新皮質』、イベントの記憶を保持する『海馬』などを含む異なる機能を担う器官があります。近年注目を集めるディープラーニングの機械学習機能は、『新皮質』を参考とした働きをしていて、これまではモデル化が難しかった分野でした。しかしディープラーニングの出現により ...

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