スマホのロケーションデータやアプリデータ活用など、アドテクノロジーの進化により、ターゲティングの世界で行えることの幅が広くなっています。アドテクノロジーの最新動向についてサイバーエージェントの羽片氏に話を聞きました。
行動履歴からユーザー像を探る「リアル行動ターゲティング」
ターゲティングの話でいうと、最新の話題は2つ、「オフラインでの行動履歴データを活用したリアル行動ターゲティング」と、「アプリデータを活用したマーケティング」がホットな話題になります。
まず「リアル行動ターゲティング」についてですが、スマホなどのスマートデバイスの普及により、新たに可能になったターゲティング手法です。
これまでも、IPアドレスなどから閲覧者の居住地を特定し、それを利用する「ジオターゲティング」と呼ばれる技術がありました。「いまどの場所でアクセスしているのか」を、市区町村レベルで特定し、ターゲティングしていました。しかしながら、近年スマホのような肌身離さず所持できるデバイスがでてきたことにより、取得できる情報が「位置データ」から「行動履歴データ」に変わってきています。※
※ 位置情報の取り扱いに関する利用目的や取得情報などの注意事項にあらかじめ同意しているユーザーのみを対象としている。
これまで「点」でしかなかったアクセスポイントの情報が時系列で取得することによって「線」になり、行動履歴からユーザーのライフサイクルがよく分かるようになりました。
行動履歴を見ていくと、その行動をとっている人が、どんな人なのか予測がつきます。毎朝決まった時間にオフィス街に移動していればビジネスマンではないか、旅行やゴルフなどを月に何度も楽しんでいるのは高所得者ではないか、といった仮説が立ちます。このように今までオンラインではわからなかったオフラインの行動履歴から人物像を予測し、アプローチできるのがリアル行動ターゲティングの強みだと思います。例えば高アドテクノロジーの進化で実現するターゲティングの新世界スマホのロケーションデータやアプリデータ活用など、アドテクノロジーの進化により、ターゲティングの世界で行えることの幅が広くなっています。アドテクノロジーの最新動向についてサイバーエージェントの羽片氏に話を聞きました。級車を訴求したいと思ったならば、ターゲットである「毎週ゴルフに行っている高所得者層」に対してコミュニケーションを取ることが可能です。こうした行動履歴でセグメントして、ターゲティングしていく時代が到来しています。
市場にそうした変化がでてきたなか、「来店を運用する」という考え方が新たに出てきています。今までテレビCMやチラシなどが実際に来店にどれぐらい結びついたのかを把握する手法が、なかなかありませんでした。ですが行動履歴を見れば実際に来店したのかがわかります。目標に応じて、また実際の来店数を見ながら、広告出稿を運用していくことが可能になりました。集客というオフラインの成果まで把握して、オンラインの広告を打てるようになっているのです。
そうした状況を受け、サイバーエージェントでは、「来店を運用する」というコンセプトのもと、今年2月に「Visit Lead(ビジットリード)」という商品をリリースしました。オンラインの行動情報と、実店舗への来店などオフラインの行動情報を基にユーザーセグメントを作成して、広告配信の最適化を図ります。
例えば化粧品メーカーであれば、ドラッグストアなど商品取り扱い店舗の近隣住民に広告を配信することが可能です。その後は、実際の来店を基にしたリターゲティング広告の配信などにより再来店率を向上させる配信を行います。また、広告配信の最適化における指標として「CPV(Cost Per Visit)」という概念を用いていて、オンラインでの申し込み数や購入数と同様に、配信セグメントごとの集客コストの可視化が可能です。ユーザーの行動によって「メディアやクリエイティブをどのように変えるか」「来店単価や来店率をどうマネジメントしていくのか」という、このような運用を実現したことは、マーケティング手法としてかなり新しいのではと考えています。
来店を運用する以外にもさまざまな行動履歴データの活用が考えられます。注力しようと考えているのは …