(左)グライダーアソシエイツ 取締役 COO
荒川 徹氏
(右)ネスレ日本 チーフ・マーケティング・オフィサー 常務執行役員
マーケティング&コミュニケーションズ本部長
石橋昌文氏
リッチで多様なコンテンツを通じてブランド理解を促す
―ネスレ日本さんは、マーケティングの考え方を社内のさまざまな部門に浸透させていらっしゃいます。
石橋▶ 私たちが考えるマーケティングとは、顧客の抱える問題を解決することです。一般消費者だけが顧客ではなく、例えば人事部は従業員を顧客と考える。マーケティングは全社的に求められる考え方といえます。重要なのは、顧客すら、気づいていない問題を顕在化させ、解決策を考えること。それがイノベーションであると考えています。
―スマートフォンでのブランディングを考える際、オウンドメディアを重視するものの、運用に課題を感じている企業は少なくありません。御社のオウンドメディア活用についてお聞かせください。
石橋▶ 当社はオウンドメディアを「ネスレアミューズ」というサイトに一本化し、Eコマースも開始しました。ただ、サイトで自社商品だけを買ってもらうことは難しい。そこで、クオリティの高いエンタテインメントコンテンツをつくることになりました。サイトとYouTube双方からアクセス可能として、相乗効果を生む。そうしてネスレブランドへの理解を深めてもらおうとしています。
荒川▶ 当社が運営するキュレーションサイト「antenna*」では、さまざまな企業のオウンドメディアコンテンツを配信していますが、ネスレさんほど継続的に、自社コンテンツをつくり込んでいる企業は非常に珍しい。多彩な切り口でアプローチすることで、ユーザーとのエンゲージメントを高めていると思います。
―プロダクトの知名度が、必ずし もコーポレートブランドの知名度につ ながらないケースもあると思います。 その点は、どのようにお考えですか。
石橋▶ 実は、主軸の「ネスカフェ」をネスレの商品と認識しているお客さまは6割もいません。プロダクトブランドとコーポレートブランドのリンケージをオウンドメディアなどを通じて、より強くしていく必要があります。
―今後の課題をお聞かせください。
石橋▶オウンドメディアは、会員数を追いかけるより、コアなファンを増やすことが活性化につながると思います。その点、現在約20万人の登録がある「ネスカフェアンバサダー」は大事な取り組みです。彼らと継続的にコミュニケーションをとることが最も重要と考えています。
荒川▶ 情報に接する機会は増えていますが、実際に体験する機会、深く知る機会はかえって少なくなっています。企業が発信する情報をリアルな体験につなげていくことが、今後のカギになるのではないでしょうか。
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TEL:03-5772-3009
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