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激変するメディア環境とテレビの未来

R30メディアパーソンに聞く!今の課題と未来への挑戦

TBSテレビ×朝日新聞社×テレビ東京コミュニケーションズ

メディアの環境が大きく変化する時代に、大手マスメディア企業で働く若手は今、何を考えているのか。マスメディア企業の中で、新しい挑戦を始めている若手3名に集まってもらい、メディアの現在と未来の可能性について、語ってもらった。

コンテンツ価値を向上させたい

中島▶ 僕は2009年にTBSに入社して以来、制作部でバラエティ番組のADをしていました。2012年に、次世代ビジネス企画室に異動。ネットとテレビを融合させて、若い人に参加してもらえる番組づくりに挑戦しています。取り組みの一つとして2013年1月より不定期の特別番組として放送しているのが『リアル脱出ゲームTV』です。主人公が謎解きするのと同じタイミングで、視聴者もネットの特設サイトから解答できるという、新感覚のドラマです。そうしたドラマ制作と並行して、スポンサーと連携をとりながら、新しいテレビCMのあり方や、テレビの価値創出に対してチャレンジを続けています。

林▶ 私が朝日新聞に入社したのも2009年です。記者として入社してから現場取材を積んできました。2013年に社内で、新聞社の既成概念にとらわれない新しい商品やビジネスを生み出す実験室として「メディアラボ」を開設することになり、ラボの公募に手を挙げました。配属後は、コンテンツの力で実際にお金を集める新しいメディアの試みとしてクラウドファンディングサイト「A-port(エーポート)」を立ち上げたり、「朝日自分史」という自分史制作支援サービスなどを開始。他にも、色々な新規事業の模索、研究に取り組んでいます。

段野▶ 僕の経歴はちょっと変わっているかもしれません。テレビ東京には2007年に入社、情報システム部門に配属され放送システム構築に従事。その後2012年に制作技術部に配属となりカメラマンとして色々な現場を経験した後、今年1月からテレビ東京コミュニケーションズで「見逃し配信サービス」の立ち上げや経済番組に特化したVODサービスであるビジネスオンデマンドに参画しました。主な担当は動画・広告配信のシステム構築や技術検証ですが、人員が少ないためプロモーション企画や効果測定まで幅広く携わっています。テレビのコンテンツはニーズが高いことを実感する反面、今後動画コンテンツはますます増加し、今以上に熾烈な競争が始まるだろうと危機感を抱いています。コンテンツが飽和している中で、どうすれば自局のコンテンツをユーザーに届けられ、見てもらえるのか。中長期的なスパンでその戦略を検討しているところです。

中島▶ 僕の関心は、どちらかというとソフトの面で、やはり気になるのは制作費ですね(笑)。制作費はテレビの広告費シェアの減少に合わせて減るものです。2020年の東京オリンピックまでは広告の需要は増加傾向にあると思われるので今はあまり心配していませんが、オリンピック後、景気が下がった時にテレビCMの出稿量、さらに制作費がどうなるのかが気になります。いま宣伝予算の決裁をしている人たちは、皆テレビ好きで、テレビCMに高い価値を認めている方が多いのですが、2023年くらいになると、デジタル視聴に親しんだ世代が決裁者に加わっていく。すると一気に主要媒体がテレビからネットに移っていくかもしれない。だからこそ、コンテンツ自体の価値がインターネットに比べてずっと高いのだということをスポンサーに説得していかなければ、広告費シェアの低減は留まらないと考えています。

林▶ マスメディア全般に言えると思うのですが、同じコンテンツを皆で同時に共有するスタイルはもう成り立たない時代になっているのではないでしょうか。皆が新聞の1面トップ記事を …

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