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広告を「読む」。

「愛だろ、愛っ。」のコピーから読む「愛」のこと

山本 高史

広告を読めば、なんかいろいろ見えてくる。例えば「愛」のこと。

サントリー(1993年~)コピーライター 佐倉康彦

勝手ながら。

今回の原稿はいつもとは趣向を変えて、真夏の夕方に交わした会話を書き起こしてみたい。話があちこち散らばる雑談ベースなので、少々雑文にはなるが、夏休みということ(書いているのは8月半ば)でお許し願いたい。話す相手は佐倉康彦さん(以降敬称略)。長年の友人であり、こと広告に関しては盟友と言ってもよい。彼が1993年に書いた「愛だろ、愛っ。」から話は始まった。

このコピーはサントリーザ・カクテルバー(1993年~)のもので、永瀬正敏出演によるコミカルなテレビCMが記憶に残っている。佐倉はテレビCMの出演者のキャラクターを、バイオグラフィーから考えるという。「おとうさんの職業」「住んでいる場所」「小学校時代の担任の先生」というようなこと。当時彼の描いたストーリーは、「地方から出てきた」ばかりの「都市単身生活者男子」が「恋愛がしたい」と願い「カッコよく決めたつもり」が「うまくいかない」(ああ!)「自分には愛が足りない」ゆえに「愛だろ、愛っ。」というのがデフォルトの設定だったそうだ。彼は「まあ世の中で起こっていたことなんだけどね」と言う。世の中に萌芽もない現象を広告で描いたところで、なんじゃそりゃ?となる。1990年代中盤には阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件と日本史に残る大災害大事件があり、日本経済は「失われた10(20)年」の真っただ中にあったが、ドリカムやミスチルやグローブはLOVEを歌い、ロンバケ(ロングバケーション)は最高視聴率36.7%を記録した。広瀬香美の「ロマンスの神様」っていうのもあった。あるスキーショップのテレビCM曲である。カップルはそこで一式揃えて、「私をスキーに連れてって」ってダンドリだ(最近、SNSで「これ知っていたらオジサン」っていうのよく見るな)。ちなみに、以前にここで紹介したサントリーNEWオールドの「恋は、遠い日の花火ではない。」は、1994年のコピーである。あの頃、若者も大人も恋愛に夢中だったのだ(遠い目)。

内閣府 平成26年度版「結婚・家族形成に関する意識調査」より

内閣府の平成26年度版「結婚・家族形成に関する意識調査」によると、20~39歳の男女2643人が回答した調査で、未婚の男女の「恋人が欲しい」は60.8%、「恋人が欲しくない」は37.6%となっている。「欲しくない」のは、「自分の趣味に力を入れたい」「恋愛が面倒」だからだそうだ …

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