報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
『あまから手帖』編集部 DATA | |
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『あまから手帖』は関西地方のグルメ雑誌。長く地域の飲食店を紹介してきたが、2022年9月に江部拓弥氏が編集長に就任。23年から誌面が変化した。元『dancyu』編集長でもある江部氏は「ネットで足りる単なる『情報』より、紹介する店などから生じる『物語』を前面に出す方針です」と語る。
23年5月号は「京都の迷い方」特集。冒頭では老舗バー、京都サンボアについて、三十数年にわたり店に通い続けたライターが描く。先代のマスターからは5、6年通い詰めて声をかけてもらえるようになったこと、当代のマスターは遅くに行くと酔っていることもあるが先代以上に地元で愛されていることなどが綴られている。
同年2月号のコーヒー特集では、大阪現役最古参、平岡珈琲店を取り上げた。1921年に創業し100周年を機に定番ブレンドを「百年珈琲」と銘打つ。ここ数年は、三代目が自らの技術と経験を伝え若いスタッフらの日替り店主制を敷いて営業しているという。「紹介する店は編集者とライターの方が必ず事前に店を訪れて企画趣旨に沿うと確認できた後、改めて取材に伺います」と江部氏は話す。
同年3月号では関西の中華料理を特集。「ガチ中華」や「町中華」のほか、生まれは中国、育ちは韓国という「コリアン中華」も扱った。中国東北地方出身のオーナーと韓国から来たシェフが出会って始めた生野区の「紫金城」などが登場。山東省から韓国に伝わり爆発的な人気を得たジャージャー麺を紹介した。「検討段階では1店ごとのページ数も未定です。取材次第で決めますが、特集はどの号も60ページ以上になります」という。
同年1月号の大阪特集では、なんばグランド花月近くの食と料理の書籍専門店...