報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
ハースト婦人画報社『Harper's BAZAAR』DATA | |
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1867年にニューヨークで創刊し、150年以上の歴史を持つファッション誌『ハーパーズ バザー』。世界30カ国で発行され、2013年には日本版も創刊。働く女性に向けたラグジュアリーなファッションやカルチャー、ライフスタイルの最新情報を発信している。
ファッション誌の枠にとらわれず、多様性やジェンダー、サステナビリティなど、女性をエンパワーする特集にも力を入れている。ターゲットは主に30代半ば~40代の働く女性だ。
新編集長のもとリニューアル
2022年1月から小栗裕子氏が編集長に就任。日本版『ハーパーズ バザー』としてのブランドパーパス「社会を動かす女性を、もっと美しく」を新たに掲げ、新体制のもと始動している。
同誌はグローバルのモード誌であり、1980年代から2000年代頃までは海外のトレンドや最先端の価値観を輸入してくることが大きな役割だったが、SNSやデジタルが飛躍的に伸びる中、役割に変化が求められるようになった、と小栗氏は指摘する。
「海外の価値観を単に輸入するのではなく、グローバル視点のラグジュアリーファッションコンテンツを、日本人である私達編集者の視点でつくり出すこと。同時に、日本の優れた才能やクリエイティビティを海外に伝えていく役割もあると考えています」。
同誌は、統一されたひとつのテーマの中に、様々な切り口のコンテンツを掲載する「ワンイシュー・ワンコンセプト」で構成。シンプルで洗練されたビジュアルや、読み応えのあるインタビュー記事は読者からの支持も厚い。
小栗氏就任後の大きな変化のひとつが、表紙の人物だ。これまでは海外のモデルが多かったが、日本人も頻繁に登場するようになった。「家族と絆の肖像」がテーマの2022年6月号では、榮倉奈々・賀来賢人夫妻を起用。大きな話題を呼んだ。
「『ハーパーズ バザー』は“ファッションプロのための知られざる媒体”というイメージで、一般の方で名前をはっきりと言える人はさほど多くなかったと思います。コロナ禍により書店で立ち読みをする機会も減る中『どれだけ多くの方々の目に留まるか、手に取ってみようという気持ちにさせるか』という点を常に意識しました。日本の女性誌市場において比較的新参者である私たちにとって、ファンになっていただく以前にその課題を突破するために、インパクトある表紙の役割は大きいものでした」。