熊本県内に複数のキャンパスを持つ崇城大学。同大は2011年と2018年に2回の大規模なサイト改修を行っており、その結果、日経BPコンサルティング主催の大学サイトユーザビリティ調査で3位(2020年)を獲得。有効な刷新のポイントを聞いた。
「全国大学サイト・ユーザビリティ調査」*。本調査の最新ランキング(スマホ版)で3位にランクインしたのが崇城大だ。ランキング初登場時(2012年)は77位だった。ウェブ担当者の業務の指標にするために導入した調査だったが、「ここまでランクアップするとは」と、同大入試広報部の今野京広報課長は話す。
*全国大学サイトユーザビリティ調査⋯⋯日経BPコンサルティングが主催する大学サイトのユーザビリティに関する調査。米Googleの提唱するガイドラインなどを参考にしつつ、同社が評価し、ランキング形式で発表している。評価軸は、①通信への配慮 ②見やすさ ③操作のしやすさ、などがある。
2つの無駄を解消
同大は2011年、2018年と2回のサイト改修を行っている。1回目の改修の理由について、「情報の所在が不明で無駄が多い、と思ったのです」と今野氏は語る。この無駄には実は二重の意味がある。ひとつは、サイトの掲載情報の“無駄”だ。「ターゲットも曖昧で、告知や、研究結果などの情報がバナーなどでただ漫然と貼り付けられている状態でした」。
そしてもうひとつの“無駄”が、サイトの運営・管理の“無駄”だった。当時は元技術者が運用し、専門知識がない事務局員は更新したくてもニュース記事以外を更新するのが困難だった。それゆえ、上層部から更新依頼が来たら対応する、という受け身の状態だったという。
この2つの無駄を解消し、受験生らにより魅力的な大学だと思ってもらうためには事務局のみならず“大学全体を巻き込んだ”情報発信が必要と考え、サイト改修に踏み切った。
1回目のリニューアルでは、コンペを実施。その際、今野氏にとって譲れない条件があった。それが、「デザインとシステムを一気通貫で改修できるか否か」だった。コンペを経て、パートナーとなったEWMファクトリーの担当者によると、今では主流だが、当時はサイトのデザインとサーバーなどのシステム管理は会社が異なるケースが多かった。
条件を踏まえ、3社から改修案を提示してもらい、その結果、現在の制作会社であるEWMファクトリーに決めたのだった。
意見の不一致乗り越えて⋯
今野氏の「無駄を省く」姿勢──これは前述の大学全体をサイトリニューアルに巻き込む際の過程でも活かされている。というのも、「予算も掛かるため、上層部の理解を得るためには手を変え、品を変え、何度も説明する必要がありました」。
事務局だけではない。同大には5学部10学科が存在するが、その各教員らからも同意を得る必要があった。そこで...