非対面で企業情報を発信する重要性が増しています。コーポレートサイトを訪れるステークホルダーは今、どんな情報を期待しているのでしょうか。カタログを脱却しメディア化するコーポレートサイトの流れをふまえ、リニューアルの指針となる考え方を整理します。
これからの「コーポレートサイト」リニューアル指針
❶パーパスからコーポレートサイトの役割・ゴールを考えましょう
❷ターゲットの優先順位を決めましょう
❸キラーコンテンツを企画・設計しましょう
❹情報の棚卸と整理は、ユーザビリティ重視で行いましょう
❺誰かの好みではなく意味あるデザインに、効果的な検証作業を
❻予算は三段階で考えましょう
新型コロナウイルスの猛威は世界を駆け巡り、いまだ収束することはありません。この間、私たちはこれまでに経験のない短期間の変化に翻弄されています。今まで当たり前だった日常はあたかもなかったかのように去り、5年先、10年先だと思っていた未来が現実のものとなっています。デジタルトランスフォーメーション(DX)、テレワーク、ステイホーム⋯⋯キーワードの数々がそれを物語っています。
コーポレートサイト注目の理由
このような劇的な変化は、もはや一つの局面の変化にとどまらず、社会全体のアップデートをもたらしたと言えます。こうした流れは、企業のマーケティング活動にも大きな影響を及ぼしました。特に注目すべきは、社会全体が「非対面・非接触」という意識になってきたということです。人と人との接触の大きな変化は、企業と生活者におけるコミュニケーション活動の劇的な変化を意味します。これまでリアルなコミュニケーションを主としていた企業は、デジタル上でのコミュニケーションはあくまで補完的と捉えていたかもしれません。
しかし、社会全体が変化していく中で、主たるコミュニケーションをデジタルにシフトしていくことが求められるようになりました。企業は今まさに、デジタルを核とした新たなコミュニケーションを模索しているのです。そして、その新たなコミュニケーションを支える企業の顔として、コーポレートサイトに注目が集まっています。
これまでコミュニケーションの補完的位置づけにあったコーポレートサイトは、企業と生活者をつなぐコミュニケーションのHUB、架け橋になるのです。コーポレートサイトは、企業コミュニケーションの補完から、中心へとその役割を変えようとしています。
企業の姿を文脈で整理
時代のトレンドという観点において、新型コロナウイルスによる変化を捉えるだけでは十分とは言えません。もうひとつの世界的なトレンドと言えば、「SDGs」でしょう。サスティナビリティ(持続可能性)という大義の中で、社会における企業の共生の在り方、存在価値を再考し定義することが求められているのです。
企業のあるべき姿、ブランドの在り方、それを体現する具体的な活動やプロダクツなど、企業のあらゆる面にコンシステンシー(一貫性)が必要となります。企業はこれら一連をコンテクスト(文脈)として整理し、表現するとともに、ユーザーに対して分かりやすく発信していかなければなりません。そして、その情報の発信源として、コーポレートサイトは存在します。
欠かせない「パーパス」
具体的にどのような情報を発信すべきかを検討する上で、「パーパス(企業の存在意義)」は欠かすことができないキーワードです。「パーパス」とはいわゆる企業における社会的価値や存在目的を定義したものであり、それをどのように社会や従業員と共有できるかが重要となります。
もちろん、すでにミッションやビジョンなど企業にはある程度の指針はできている状況ではあると思いますが、それをさらに深掘りし、発信できる情報として変換させるために、より具体的な企業指針として「パーパス」の策定が求められます。なお、この策定には会社の代表者である社長のほか、トップマネジメントのかかわりが必須となります。
こうした「パーパス」の策定が明確であればあるほど、企業はより具体的で、ユーザーに届きやすい情報発信ができるようになるのです。コーポレートサイトでの発信においても企業姿勢がより伝わりやすくなります。
カタログ脱却し、タイムリーに
さて、ここまでコーポレートサイトの役割の変化、そして「パーパス」視点で考えることの重要性を説明してきました。ここからは、それらの考えをベースにどのようにコーポレートサイトをリニューアルしていくべきかの具体論について触れていきます。
もっとも重要なことは「カタログからの脱却」を意識することです。どんな企業も自社を紹介するカタログやパンフレットなどは揃えているところが多いと思います。しかし、それを改めて見返してみると、実は情報が当時のもので最新ではない、当たり障りのない情報が羅列されていてユーザーにとって魅力が欠ける、などの問題が散見されていると思います。紙媒体だとリアルタイムな修正が難しく、タイムリーな情報発信がしづらいというのは仕方ないかもしれません。
メディア化を目指す
一方でコーポレートサイトはデジタル媒体のため、タイムリーな情報発信が可能です。また動画を含め、情報発信の方法についても多様で、より魅力的な情報への加工も容易です。そうしたことにもかかわらず、現状のコーポレートサイトはいわゆるカタログ、パンフレットの...