9つの事例をもとにPRパーソンの奮闘ぶりを描いた書籍『広報の仕掛け人たち─PRのプロフェッショナルはどう動いたか』の発売に合わせ、本書に登場した3人がそれぞれの事例やPRの仕事の楽しさ、やりがいについてトークを繰り広げた。
※本記事は4月12日・13日に開かれた宣伝会議主催のイベント「AdverTimes DAYS 2016」内で行われたパネルディスカッションをレポートしたものです。
ニューカレドニア観光局×キャンドルウィック
ニューカレドニアのPRイベントを東京・六本木ヒルズで開催。11日間で1万7000人が訪れた(2015年7月)。
既成概念をPRで覆せるか
井口理氏(モデレーター、電通パブリックリレーションズ) :ここ数年の間にPRの仕事の中身は急激に変わってきていると実感しています。3月に発売された書籍『広報の仕掛け人たち』に掲載されている事例を見ていると「いまのPRって、ここまで進んでいるんだ」と感じていただけるはずです。今日はその中からPR会社3社の方にお集まりいただきました。まずはキャンドルウィックの取り組みから。
中尾海音氏(キャンドルウィック):ニューカレドニア観光局の日本市場向け観光集客プロモーションをお手伝いしました。クライアントの目的は、日本からのアウトバウンド需要の喚起や渡航者需要の増加です。パブリシティの獲得だけではなく、コミュニケーション全体の窓口を担当しました。
佐藤裕志氏(スパイスコミニケーションズ):ニューカレドニアと言えば「天国にいちばん近い島」ですよね。
横田和明氏(井之上パブリックリレーションズ):個人的なことですが、私の新婚旅行はニューカレドニアでした。まさに「天国にいちばん近い島」に憧れていたのが理由です。とてもステレオタイプなのですが……(苦笑)。
井口:その話、長くなりますか?(笑)
中尾:そうなんですか。確かにおっしゃる通り、ニューカレドニアと言えば「天国にいちばん近い島」はあまりにも有名ですが、我々が目指したのはそのイメージからの脱却だったのです。『天国にいちばん近い島』は小説をもとに1980年代に映画化され、ヒットしました。でも今のほとんどの若い方は知りません。また、その言葉からはニューカレドニアがどこにあるのか、どんな国なのかはなかなか想起されないのです。「天国」や「ハネムーン」という言葉では、リピーターが醸成されづらいという側面もありました。
井口:そこで、コンセプトから見直そうというわけですね ...