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青山広報会議

広報担当に必要な資質とは? 「プロのPRパーソンになるための条件」

ANAホールディングス/カルビー/日本オラクル

4月から体制が変わり、広報部門に新たなメンバーを迎え入れる企業も多い今の季節。これから活躍が期待される、若手PRパーソンに求められる資質や姿勢とは?広報経験をもとに、積極的なデジタル活用やコーポレートコミュニケーションなど新たな領域にチャレンジし続けている3社のマネージャーたちは今、次世代のPRにどんなスキルが必要だと考えているのでしょうか。

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コンテンツを生み出せるか?

編集部:今回は広報・コーポレートコミュニケーションの経験が長いだけでなく、新たな広報活動にチャレンジし続けているマネージャーの皆さんに集まっていただきました。まずANAホールディングスの高柳さんから、ご経歴を教えてください。

高柳:20年ほど前に3、4年ほど広報を経験し、2015年4月からコーポレートコミュニケーション室のグループ広報部で副部長を務めています。航空券の販売サイト「ANA SKY WEB」やFacebookページの運営などウェブマーケティングの部署が長かったこともあり、今はオウンドメディアを通じたコーポレート情報の発信に携わっています。

編集部:野原さんは、2015年にカルビーに移られたばかりですね。

野原:2015年2月にカルビーに入社し、社内外広報チームを統括しています。前職ではブライダル企業に約12年在籍して、広報は立ち上げから約10年担当しました。

編集部:石川さんには、BtoB企業の広報ならではの課題やデジタルPRについても、ぜひお話を聞きたいと思っています。

石川:日本オラクルでは十数年、広報に関わっています。メディアリレーションズはもちろん、ソーシャルメディア、ウェブコンテンツを活用したPRなどを管轄しています。以前は製品のPRが中心でしたが、ここ1~2年は企業PRの話題を発信する機会が増えていますね。

編集部:ありがとうございます。実は今回、事前に皆さんに「これからの広報パーソンに必要な力は?」というアンケートに回答いただいたのですが、まず共通項として見えてきたのが「コンテンツを生み出す力」というのが、印象的でした。

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「What's up? ANA」は、プレスリリースや公式ウェブサイトなどで紹介した情報をよりリアルに楽しく掘り下げて紹介する役割と、ANAについてより深く知ってもらうきっかけとなる情報を発信する役割を持つ。

高柳:サービスやCSR活動、イベントなどの話題をコンテンツ化して発信する「What's up? ANA」というオウンドメディアを運営しているのですが、対メディアの方に加えて、広くユーザーに共感されるコンテンツがいかに重要か、実感しますね。例えば2015年11月11日、国産ジェット旅客機「MRJ」の初飛行のタイミングで「夢のMRJが、初飛行!」というレポート記事をまとめて同時にSNSで発信したところ、1日に2万~3万のアクセスがありました。

広報の仕事の基本では社内のニュースを集めて、「メディアの方にとって分かりやすい文章や表現でリリースを作成すること」を中心に取り組んできました。一般のお客さまに発信する場合は、写真や動画を使い、分かりやすく伝えることがより重要と実感しています。

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NewsPicks上で有料のブランドアカウントを活用し、企業の発信の場に。

石川:同感ですね。日本オラクルではNewsPicksの有料のブランドアカウントを活用したり、自社サイトに「あなたが知らない日本オラクルの10の事実」というコンテンツを設けたりと、新たな試みを始めています。「本社の最上階には茶室」「データベースよりも有名!? 社員犬キャンディ」など、写真とともに社内の話題をキャッチーな内容でまとめて、ウェブ上で受けそうなタイトルをつけたら取引先や社員にも好評でした。

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日本オラクルは一般的に持たれている漠然としたイメージを具体的なものにするために、会社の持つ10の事実を紹介したコンテンツを設けている。

野原:ひとつのニュースの舞台裏にどんな人がいて、どんな苦労や思い入れがあって商品やサービスを生み出したのか。企業として、そういう温度感をコンテンツとして伝えられるプラットフォームがあるのは強いですよね。

石川:そうですね。日本オラクルでもコンテンツやストーリーが重要、と言い始めたのはここ1、2年のことです。社内を見渡すと事業部ごとに「自分たちの部門の製品をPRしたい」という強い思い入れがあるわけで、その気持ちを100パーセント押し出しても、必ずしもステークホルダーに伝わるわけではないですよね。PRしたい内容よりも「読みたくなるようなコンテンツ」がいかに重要か、社内のマインドを変えていくのも広報の課題だなと最近は感じています。

野原:カルビーの商品PRも同様で、新商品もメディアおよびユーザーの方々に興味を持っていただける様々な切り口を考えていく必要があります。また、商品に直結することではないかもしれませんが、工場の取り組みなどをリリースし、食品の異物混入への対応など、社会的な関心にしっかり応えるのが広報の使命だと思います。「だからカルビーは安心・安全で美味しいものをつくっている」と企業の姿勢を表明して、コンテンツとして伝えていくことも広義の意味での商品PRだと思います。

記者の先には読者がいる

編集部:コンテンツを発信する場合、よく読者の方から「社内からネタが集まってこない!」という悩みが寄せられますが、解決策はありますか?

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カルビーでは、社内報の担当者がプレスリリースを作成することも。社内のあらゆる情報を得ることができるからこそ書けるリリースであり、記事掲載されることも多いという。

野原:カルビーではメンバーのうち2人が社内報を担当しているのですが、そのうちの1人はプレスリリースも書きます。社内報担当者は社内やグループ企業の情報に詳しくなるので、企業広報関連のリリースを任せるには適任なんです。社内報や社会環境報告書(CSRレポート)はプレスリリースのネタの宝庫です。

高柳:ANAの場合は「え? ウェブで取り上げてくれるの?」という好意的な反応が圧倒的に多かったですね。かつては社内から要望をヒアリングした後、読み手に共感してもらえる切り口を考えてリリースを書くのが広報の仕事でしたが、オウンドメディアを始めてからは少し変わりました。一般のお客さまが対象の場合は「写真と動画があれば、テキスト量はそれほど必要ないんだな」と思うことが増えました。

石川:日本オラクルの広報ではあまり動画などを活用する機会はないのですが、「文章だけが発信の術ではない」という考え方には同感です。テキストのプレスリリースはメディアの記者のためのものであって、記者からすれば「この情報は一体何が新しい情報なのか」が分かればいいわけです。

野原:そうですよね。どうしてもマスメディア偏重になりがちなので、そのバランスは重要になってくると思います。広報の事例だけでなく、様々なマーケティングの手法などのトレンドはつかむようにしています。これから入ってくる20代のPRパーソンはもう、YouTubeやキュレーションメディアがあって当たり前、というライフスタイルを送っているわけで、いかにデジタルを活用しながら企業や商品のファンをつくり出すか……という視点が重要になってくるはずです。現に私のチームの若いメンバーがそうです(笑)。

高柳:なるほど。広報はプレスリリースをつくるときはその先にいる読者の存在まで考えなくてはいけない、という点とは重要ですね。

野原:広報が直に接するのはマスメディアである場合が圧倒的に多く、ダイレクトにお客さまと接する機会はあまりありません。しかし、オウンドメディアがあることで ...

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